(2021/12/15 05:00)
新規感染者数が落ち着きを見せ、経済活動の制限が緩和されたことから、景気回復への期待が高まっている。オミクロン株の発生で感染再拡大が懸念されるが、水際対策や医療体制の整備などの対策に万全を期して、景気回復を確実にしたい。
日銀がこのほど発表した12月の短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の業況判断DIはプラス18だった。9月の前回調査から横ばいで、5四半期続いた改善傾向に歯止めがかかった格好。前回、景況感が大幅に悪化した自動車は、半導体不足やコロナ禍に伴う東南アジアでの部品調達難の影響が残り、0・1ポイントとわずかながら悪化した。自動車の生産抑制の影響で鉄鋼、非鉄金属も景況感を悪化させた。
非製造業は緊急事態宣言の全面解除に伴い、外出自粛や店舗の営業制限が緩和されたため、小売、飲食、宿泊などの対個人サービスが大幅に改善した。景況感は幅広い業種で改善したが、木材価格、原油価格の高騰で、建設、運輸、郵便などが小幅悪化した。
2021年度の設備投資計画は、全規模・全産業で前年度比7・9%増と、前回調査と同じだった。世界的な景気の持ち直しを背景に、堅調な見通しとなったが、欧米では感染者数の増加が続いており、輸出環境が悪化すれば、計画見直しとなる可能性もある。
先行き見通しは、部品の供給制約が緩和されつつある自動車が今回より10ポイント改善するとしている、しかし原油価格、原材料価格の高騰懸念から幅広い業種が悪化とみており、大企業製造業全体では5ポイントの悪化、非製造業も物価上昇の懸念から1ポイントの悪化を見込んでいる。
政府は資源価格上昇という景気下押し要因や経済活動の正常化に対応すべく、大型経済対策と補正予算を決定した。しかし国会の審議は子育て世帯への給付が現金かクーポンかで紛糾するばかり。景気回復に必要な消費刺激策や経済正常化のけん引役が期待される企業への支援策は棚上げされたままだ。有効な対策の議論を進めてほしい。
(2021/12/15 05:00)
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