(2022/3/1 00:00)
オムロン ソーシアルソリューションズの新型UPS「BVシリーズ」が市場で注目されている。PCや生産設備など装置のデータ保護にも使えるが、スマートファクトリーに欠かせないネットワーク機器を電源障害から守り、それらを遠隔監視・制御しネットワーク網そのものの保護を重視したUPSである。薄型、ファンレス設計、幅広い使用環境温度など、現場の運用に配慮されておりスマートファクトリーに最適なUPSと言えそうだ。
IoT時代のUPS
IoTやAIなど先端のデジタル技術やネットワーク技術を用いて工場全体の効率化を図ろうと考える企業は多い。こうしたスマートファクトリーの構築に不可欠なのが不測の事態への備え。特に停電などで突然、電源が遮断されたら、機器の故障やデータの消失など甚大な被害が生じかねない。そこで頼りになるのが、電源がダウンしても一定時間、機器に電力を供給する無停電電源装置(UPS)だ。そのUPSの中でも今、注目されているのが、オムロン ソーシアルソリューションズが2021年6月に発売した「BVシリーズ」だ。
UPSは通常、オフィスであればデスクトップPCや基幹サーバー、工場であれば製造ラインの装置などに取り付けられ、各機器や装置内のデータを保護する目的に使われる。保護するのは、主に各機器や装置内に格納された静的なデータであり、有事に備え保護しておくことは大変重要である。ただし、IoT化された社会になると、静的なデータだけでなく、ネットワーク上を行き交う動的なデータの保護が求められてくる。
「BVシリーズ」が注目されるのは、この動的データの保護を強く意識したUPSであることだ。具体的には、通信ネットワークの末端にあたるエッジ領域のネットワーク機器を電源障害から守り、さらにそれらを遠隔監視/制御することで、ネットワーク網そのものを保護するというものだ。
オムロングループは汎用UPSの製造販売で40年近くの歴史を持ち、ラインナップも充実している。そんな中でも、「BVシリーズはIoT化された工場にふさわしいUPSを追求し、ゼロから創り上げた。」と同社ではいう。
3つの特長を揃えたのは業界初*
「BVシリーズ」には遠隔監視用ネットワーク機能を持つ「BV55REM」と遠隔監視機能を持たない「BV55RE」の2つのモデルがある。斬新な製品だけにさまざまな機能があるが、大きく3つの特長がある。
1つ目は、多くのUPSの使用環境温度が0~40℃程度であるのに対し、過酷な温度環境下の工場などを想定し、使用環境温度の範囲を-10~55℃(充電時は除く)に拡げたこと。2つ目は、塵埃などによる故障リスクを軽減するためファンレス設計にしたこと。3つ目は、従来のUPSでは困難だった狭所環境をはじめ置き場所に応じた設置方法が選べるよう、薄型1U (EIA規格の44.45㎜以下に適合)設計とし、別売りの金具を使用すれば計11種類の設置パターンに対応できるようにしたことである。そしてこの3要件をすべて満たしたUPSは業界でも初めてである。
新たな価値を提供
ほかにも「BVシリーズ」には、人的リソースに限界があり、ダウンタイムを極力減少させたいOT(Operational Technology)ネットワークの運用への配慮が見て取れる。例えば、従来のUPSの多くが寿命の短い鉛バッテリを使用していたのに対し、「BVシリーズ」は、リチウムイオンバッテリを採用。また、遠隔監視用ネットワーク機能を使用すれば、UPSの接続機器が突発的にフリーズした際にも、機器ごとに死活監視や遠隔OFF/ON制御が自動で行え、システムダウンの影響を最小化できる、などだ。
「BVシリーズ」の発売以来、同社には引き合いが多数寄せられているが、「普及が本格化するのはこれから」と同社では見ている。工場でのシステム構築を検討する企業はもちろん、システムインテグレータやネットワークシステムの構築を専門とする企業などへの販促を強化しつつ、「これまでのUPSにはない新たな価値を提供していく」(同社)考えだ。
*小型(3kVA以下帯)UPSに関する国内市場調査(2021.1~2021.2)。
使用環境温度-10~55℃・ファンレス設計・1U設計の全てを満たしたUPSが業界初<ESP総研調べ>
(2022/3/1 00:00)