(2022/3/18 05:00)
電子部品や半導体デバイスをプリント配線板に実装する技術(サーフェス・マウント・テクノロジー=SMT)は、装置やモーターなどの組み込み機器において生産性向上や自動化ニーズに応えている。特にハンダ材は、地球環境に貢献する低温接合を実現するなど技術の進展を続けている。
電子回路基板 市場拡大 5G通信・EV向けがけん引
表面実装部品(サーフェス・マウント・デバイス=SMD)と呼ばれる微細な電子部品をプリント配線板に実装する生産ラインにおいて、高密度で高速、確実に表面に実装する技術が欠かせない。生産ラインはハンダ印刷機、検査機、計測器、実装機(マウンター)、リフロー炉(リフローハンダ付け装置)、それらをつなぐ搬送装置などで構成される。
電子情報技術産業協会(JEITA)による2021年1月から11月までの生産実績合計金額で見ると、フレキシブルプリント基板(FPC)や多層プリント配線板などの「電子回路基板」は前年同期比33.2%増の5885億9900万円と大幅な伸長を見せた。モジュール実装基板などの「電子回路実装基板」は同0.5%減の2472億9700万円と横ばいとなった。
こうした中、マウンターなどの装置は生産性や信頼性の向上に向けて、自動化や省人化、高速化が図られている。装置にはXYステージ、それを高精度に支えるリニアガイドやモーターなどのメカトロニクスパーツが組み込まれている。
富士経済は「ACサーボモーター/ドライバー」の24年の国内市場は、21年見込み比16.3%増の1784億円と予想した。タブレット端末やスマートフォン、パソコン(PC)に加え、5G通信関連設備、電気自動車(EV)や車載電装品の増加にけん引されると考える。
環境対応 低温ハンダ開発 電力使用量60%削減
SMDの微細化に伴い技術革新が求められ、プリント配線板の配線も小さくなる。
ハンダ材は微粉末となるほど表面積と酸化量が増える。そのため、反応性が高く、リフロー炉(リフローハンダ付け装置)での酸化を抑制する酸化防止剤(フラックス)が重要になる。千住金属工業のハンダ材はロジンや活性剤の改良で活性力を向上させ、微小粒子でも良好な濡れ性を確保。小型の0201サイズのSMDのハンダ付け課題に対応している。
また同社は環境負荷低減に積極的に取り組んでいる。1985年にフロンによる洗浄を必要としない「無洗浄ハンダ」を開発し、環境配慮型ハンダ製品の礎を築いた。以後、鉛フリー、ハロゲンフリーのハンダを開発。2015年には従来より約50度C低い温度でのハンダ付けを可能とする「低温ソルダーペースト」を開発。ノートPCで採用され、電力使用量は約60%削減を実現した。
低温ソルダーペーストは冷蔵で6カ月保存ができる。ニッケルや真ちゅうなどの母材を選ばず、ハンダボールも少なくハンダ付けを実現する。
SMTやハンダ材はエレクトロニクスの進化に伴い、課題を克服し高い品質と信頼性、環境を支えている。
(2022/3/18 05:00)