(2022/7/15 05:00)
主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が15、16の両日(現地時間)、インドネシア・バリ島で開催される。ウクライナ情勢をはじめ、エネルギー・食料価格の高騰や経済安全保障問題などを協議する。
だが欧米日とロシアを対立軸とする各国・地域の分断があらためて鮮明になるのは必至だ。長期化するウクライナ情勢が世界経済の減速を招く懸念も共有されるとみられ、米欧は物価抑制に向けた金融引き締めと同時に景気への配慮が求められる。
4月に開かれた前回会議と同様、協議の難航が予想される。前回はロシアに対する各国の姿勢の違いから共同声明は採択されず、ロシア代表者の発言時に欧米代表者らが退席する異例の一幕もあった。今回の会議は、プーチン大統領も参加を希望する11月のG20首脳会議(サミット)に向けた前哨戦となるが、亀裂がさらに深まることも想定しておきたい。
ウクライナ情勢の長期化に伴い、世界経済の一段の減速が懸念される。食料安全保障が脅かされ、高原状態のエネルギー価格が各国経済の足を引っ張る。11月に中間選挙を控える米国は、有権者が求めるインフレ退治を最優先し、7月も大幅な利上げを継続する見通しだ。
ただ米国の利上げは新興国の資金流出を招き、ユーロ圏も対ドルでの通貨安がさらなるインフレを誘発する副作用を伴う。ドル独歩高の中、金融緩和を続ける日本も輸入物価が高騰し続けている。賃上げが不十分な中で、個人消費が低迷しかねないことには留意が必要だ。
ロシアとウクライナは13日、トルコと国連を交えた4者協議で、ウクライナ産穀物の輸出再開に向けた航路の安全確保で合意したという。食料安全保障の問題が緩和に向かうと期待したいが、不測の事態が起きないか見守りたい。一方のエネルギー価格も需要が供給を下回らない限り物価上昇は沈静化しない。米欧の金融引き締めがどの段階で物価抑制の効果を表すのか、世界経済の大幅減速と引き換えに物価が引き下げる事態も想定しておく必要がある。
(2022/7/15 05:00)
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