(2022/8/31 05:00)
政府は2023年度一般会計予算の概算要求を31日に締め切り、予算編成作業を本格化する。各省庁からの概算要求総額は110兆円規模となる見通しだが、金額を明示しない「事項要求」が多く、さらなる予算の膨張が懸念される。大幅に増額する防衛費などの財源問題は後回しにされており、年末に向け、財政規律に配慮した編成作業を求めたい。
概算要求を省庁別に見ると、防衛省は過去最大となる約5兆6000億円、厚生労働省も過去2番目となる約33兆3000億円に達した。厚労省は23年度に発足するこども家庭庁の設立準備室からの概算要求を含んでおらず、これを加えれば過去最大の要求額になる。
防衛、厚労両省とも「事項要求」も少なくない。東アジアの安全保障や高齢化の進行に伴う増額はやむを得ないが、21年度予算ではコロナ禍対策費の使い残しが問題視された。メリハリを利かせた予算措置を望む。
防衛費の財源問題は9月に有識者会議を発足し、議論に着手する。財源は国債、増税、防衛費以外の歳出削減などの選択肢がある。このうち国債は将来への負担先送りで、すでに国民1人当たり1000万円超の国の借金を抱えている。スウェーデンはウクライナ情勢に伴う国防費の増額分を酒税・たばこ税の増税で補った。増税もタブー視しない議論が求められる。
23年度の概算要求基準では防衛、脱炭素、少子化対策、コロナ禍対策、物価高対策などが重要施策とされ、“青天井”とも言える事項要求を認めた。政府の経済財政運営の基本方針(骨太の方針)には「重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない」との一文が盛り込まれ、積極財政を支持する安倍晋三元首相に配慮していた。25年度としていた財政健全化目標の時期も削除された。
政府は22年度に確保した予備費5・5兆円を超える物価高対策に向け、22年度第2次補正予算案の編成も視野に入れる。金額ありきでなく、必要な予算を一つひとつ積み上げていく作業をここでも怠ってはならない。
(2022/8/31 05:00)
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