(2022/12/21 12:00)
フェローテックマテリアルテクノロジーズ(FTMT)は、世界規模で成長を続ける半導体市場において、日本国内での積極的な投資にかじを切る。国内外での「地産地消」のニーズの高まりを捉え、供給体制の強化が顧客の信頼獲得に繋がると捉え、2022年11月に竣工した石川の第2工場をはじめ、設備の増強や新設も進行中だ。市場動向や今後の事業に求める人材について、山村丈社長に聞いた。
―御社は、半導体製造装置向け部材や各種サービスを事業の柱としていますが、半導体産業で最近顕著になってきたトレンドなどについて教えてください。
「世界の半導体市場は中長期での成長が見込まれる中、各国政府は、半導体関連メーカーに各種優遇政策を施し、自国内での投資、および生産能力の増強を推奨する傾向が顕著になっている。サプライチェーンが地産地消に向かう中、当社においても、競合他社に対し一定の競争優位性を保持するために顧客の近くで製品・サービスを供給できることに対する重要性が増している」
―御社の設備投資に関するスタンスを教えてください。
「顧客のニーズを正確にくみ取り、極力顧客の近くで、タイムリーに各事業の生産能力を増強し供給体制を拡大していく事が、顧客の満足度の向上および当社のシェアアップや事業拡大の実現に極めて重要。このために、必要な投資資金をタイムリーに調達し、素早い設備投資と供給体制の確立を通じて、顧客の信頼を丁寧に積み上げていくことが当社の投資に対するスタンスだ」
―なぜ今、「日本回帰」なのでしょうか?
「半導体製造装置の投資は、中国・韓国・台湾が3大市場であることに変化はなく、これらの市場成長に対しては、当社も主に中国国内に保有する多くの生産拠点で生産能力の増大に取り組んでいく。ただし、例えば東南アジア市場の成長に対しては、顧客が望んでいるのは『地産地消』であり、当社もマレーシアに大規模な半導体関連製品・サービスの生産拠点を新設中だ。同様に、日本では九州シリコンアイランドでの半導体関連メーカーの投資拡大が顕著になってきた。そして日本国内の多くの顧客が、日本国内のサプライヤーからの部材調達を望んでいる。この国内での需要増のボリュームと成長の持続性を鑑み、当社はこれまで以上に積極的に日本国内で投資を行い、日系企業として日本の半導体産業への貢献を高め、そのことが当社グループ全体の企業価値向上につながると判断し、社内外に対し、「日本回帰」の方針を示している」
―具体的な「日本回帰」のコーポレートアクションについて教えてください。また、FTMTに関連する内容についても教えてください。
「石川工場での半導体製造装置向け部材「セラミックス」の増産を進めるため、第2工場を2022年11月に竣工、更に第3工場も2023年6月頃に着工する予定だ。また、需要の増加を受け、岡山工場でのCVD-SiC事業の生産能力も増強する。親会社のフェローテックHDでも、企業のDNAの一部である「M&A戦略」を加速させ、有望な日系企業各社と一体となり、日本国内およびグローバル市場での事業成長を加速させ、国内グループの連携を強化し、企業価値の向上に取り組んでいる」
―「日本回帰」におけるFTMT特有の取り組みは。
「当社が中国に持つ複数の生産拠点で実証された、製造工程における自動化・デジタル化・見える化の生産技術力を日本の各生産拠点に水平展開することで、生産性や品質の向上を実現し、価格・品質・納期の競争力強化に繋げる」
―FTMTの社長として、第2工場の竣工及び第3工場新設予定の石川や、生産能力増強を図る岡山等、今後の事業規模の拡大に応じて、人材確保が重要な経営課題です。今後求める人材は。
「まずは、既存の従業員に対する報酬や福利厚生を充実させることが前提になる。一方で、事業の拡大を背景に営業・製造・技術を中心とした増員は不可欠だ。そうした中で求めるのは、当社に新たな“気づき”をもたらしてくれる積極性や柔軟性を持つ人材。その上で、若い世代が入ることは企業として重要な側面はあるが、物事を変える意志を持っているならば、年代は関係ない。そうした人たちに入社してもらえるような工夫も考えていきたい」
―朝日ラバー社の「F-TEM(フレキシブルサーモエレクトリックモジュール)」について、現在販売提携を検討しています。
「当社のサーモモジュールを使った、朝日ラバーの『F-TEM(フレキシブルサーモエレクトリックモジュール)』は画期的な製品だ。この製品があれば、従来のサーモモジュールのような大きさや熱膨張の制限は無くなると考えている。サーモモジュールを搭載している製品のデザインの幅が広がることや、温調関連のソリューションに変化が起きることに期待する。当社のネットワークを使うことで、何らかの新しい事業や展開も開けるはず。販売に向けた準備について、両社で協議していきたい」
(株)フェローテックマテリアルテクノロジーズを詳しく知りたい方はこちら
(株)フェローテックHDのWEBサイトはこちら
(2022/12/21 12:00)