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(2023/6/26 05:00)
微粒子製法を解き明かす
(総合1から続く)名古屋大学大学院で生命理学を専攻しました。生物は体内でのすごく高効率なエネルギー循環により活動しています。それに比べると、工場は投入したエネルギーに対して多くのムダが発生しますね。生物の高度な仕組みが面白くて研究していましたが、あまりにも高度過ぎてまだ人類の手には負えないと分かって諦めました。
ただ、研究を通してデータをコツコツ集めて次を考察するサイクルが好きでしたので、専攻分野が直接生かせなくても理系職種に就きたいと思いました。アドマテックスを選んだのは、最初の会社説明会から真球状微粒子の合成方法を発明した安部賛会長が登壇し、開発秘話を熱く語ってくれました。オンリーワンの新しい技術だから1から勉強していこうという風土を感じ、入社を決めました。大企業ですと全国転勤があるため、地元での就職ということでベンチャー企業でも両親を説得しやすかったです。
2015年に入社し、当初は開発部に配属されました。微粒子を混ぜたスラリー(液体材料)の開発に携わっていた関係で、19年から土岐事業所(岐阜県土岐市)の製造部でスラリーの量産ライン改善を担当することになりました。約半年で生産能力を1・8倍に向上でき、年間約9000万円の原価低減につながりました。炉の燃焼条件を調節して微粒子の粒径をつくり分けますが、その原理の完全な解明には至っていません。今の目標は製造部ならではの現地現物で、炉を観察して体系的に解き明かしたいです。
音楽が一番の趣味です。学生時代は吹奏楽部などで木管楽器のオーボエを吹いていました。現在は鑑賞に専念し、来日する海外オーケストラの公演に足しげく通っています。(文=編集委員・鈴木岳志)
◇アドマテックス 第2製造部・第2技術G 青木優里(あおき・ゆり)さん
(2023/6/26 05:00)