(2023/9/19 05:00)
三菱重工業の橋本達矢上席主任と神戸大学の横小路泰義教授らは、廃炉作業用双腕ロボットの遠隔操作支援システムを開発した。17個の自由度のある双腕が障害物などにぶつからないような軌道を計算して実行する。操縦者が手動で動かす場合に比べて、10分の1の時間で目的位置に腕を動かせた。操縦者の負荷軽減やヒューマンエラー低減につながる。
東京電力福島第一原子力発電所の格納容器内の干渉物の撤去に用いる双腕ロボット向けに遠隔操作支援システムを開発した。可搬重量が150キログラムの8軸ロボットアームを2本搭載し、がれきなどを撤去する構想。配管などに腕がぶつからない腕の軌道を計算で生成する。
障害物回避などを制約として取り入れて最適化問題を解いた。支援システムの実証として双腕ロボの17軸のシステムで実験した。手動で双腕ロボを動かすと操縦者によって30―60分かかる動作を2―3分で実行できた。事前に軌道を計算する時間は約15分。放射線対策などで作業可能な時間が限られる現場で有効になる。
手動操作はシステムの自由度が多く、操縦者への負荷が大きかった。一点に集中すると他がおろそかになるなどヒューマンエラーを生みやすい。事前にシミュレーターで動きを作る場合は腕を1本ずつ手動で動かすため90分ほどかかっていた。
軌道計算には現場の3次元(3D)データが必要になる。廃炉では現場に入らないとわからないことが多いため、現場で操縦者が3Dデータとロボットのずれなどを修正する仕組みを開発していく。
(2023/9/19 05:00)