(2023/10/6 12:00)
―高校生の新卒採用に注目した経緯は。
「20年前、日本の労働人口が減っていく話が注目されていた。コンビニエンスストアや居酒屋などで働く人の顔ぶれの変化をまざまざと感じてきた。学生やフリーターが活躍した場に、潜在ワーカーやポテンシャルワーカーと呼ばれる女性、外国人、シニアが一気に広がり始めた。彼らだけでなく、高校新卒にも注目した方がいいと考えた。今は採用していなくても、若手人材の不足に困っている中小企業は目を向けざるを得なくなると思っていた」
「高校生の職業選択のフローを調べると、いろいろな制約やしがらみがあった。企業がいつどういうポイントを押さえて高校の進路指導室にPRすれば、採用がうまくいくかを私自身が把握してきた。職業選択の環境を改善していくことは、高校生にとっても社会的にも意義があり、誰かがやるべき領域だろう」
―出版の動機は。
「高校新卒の就活マーケットが注目され始めていろいろな情報が出てきた。だが高校生に就職指導をしてきた経験からすると、こうすれば上手く採用できるといった話の中には疑問を持つ内容もあった。中小企業に高卒採用を軌道に乗せてほしいとの思いから出版に踏み切った」
―離職率など一般の高卒のイメージとは異なる状況を数字を用いて紹介しています。
「すぐ辞めるといったマイナスのイメージがある。そのようなイメージの皮を数字で一つひとつ剥いでいった。高卒採用の経験がない場合や、経験があっても良くないイメージを持つ人にも実情を伝えたかった」
―紹介している採用ノウハウは細かく実践的です。コンサルタントの仕事に支障は。
「一つひとつの内容については隠す必要はない。最も大変なのは、専任の担当者を置けない中小企業が1年間継続して取り組みをやり抜くことだ。もし必要であれば我々のサポート体制がある。頼ってほしい」
「遠隔地から採用した人材の離職は、職場外の要因も大きいのではないか。例えば初めての1人暮らしでは自炊など家事の負担ものしかかる。まずは1年間の定着サポートが重要になる。入社1年目は魔の1年目と言える。我慢が足りないと言われるけれど、きちんと耳を傾けて対応できれば定着させられるかもしれない」
―採用活動は自社を見つめ直す機会になりそうです。
「高卒求人票の質を上げることも会社を変えるきっかけになる。採用を考えることは、社内制度を見直すことにつながる。高卒採用で伴走してきた企業では、先輩社員の意識が変わっていく様子を見てきた。迎え入れる側も成長しなくてはならないと責任感が強くなる。学校によるあっせんや進路指導を通じて就職する流れは、今後も大きくは変わらないだろう。その中で大人たちに何ができるか。読者が高卒者を採用するのにふさわしい企業になってもらいたい」
(2023/10/6 12:00)
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