産業春秋/経済対策の「減税」どこまで?

(2023/10/6 05:00)

「税収増を国民に適切に還元する」。岸田文雄首相は月内にまとめる経済対策で「減税」を強調し始めた。賃上げや投資を促す減税にとどまらず、所得税などにも減税が及ぶのだろうか。衆院解散・総選挙が見え隠れする。

2023年度末に期限を迎える賃上げ促進税制を延長・拡充するほか、半導体や蓄電池といった重要物質を増産する企業に税額控除を適用する施策などを講じる。23年度補正予算案も20兆円規模を求める声が自民党内にあり、内閣支持率の向上を急いでいるように映る。

1986年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・M・ブキャナン氏の経済学を思い出した。政治家は選挙があるため、減税はできるが増税は難しい。民主主義国の財政赤字は膨張しがちで、財政均衡を法律で義務化する必要があるとしていた。

竹下登内閣が日本初となる消費税を導入したのは89年。高齢化社会への対応と財政再建が目的だった。歴代内閣による一般消費税や売上税が実現せず、89年の導入までに実に10年を費やす難産だった。

経団連は少子化対策の財源として消費増税を選択肢の一つに挙げる。経済対策で「減税」を強調する岸田首相に耳を傾ける余裕はあるだろうか。

(2023/10/6 05:00)

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