(2023/11/30 05:00)
国連の気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)が30日、アラブ首長国連邦(UAE)で始まる。各国の対策が今のままなら、今世紀末の平均気温は産業革命前と比べ3度C近く上昇し、「1・5度C」目標の達成はおぼつかない。各国が排出削減計画の強化に動く機運を醸成し、化石燃料の段階的削減・廃止で合意できるかが焦点だ。各国は利害を超えて危機感を共有し、目標達成への歩みを確実に進めてもらいたい。
国連は、各国の対策が今のままでは今世紀末の平均気温が産業革命前より2・5―2・9度C上昇すると予測。目標の1・5度Cにとどめるには、温室効果ガス(GHG)を2035年に19年比で60%削減する必要があると、国連の気候変動に関する政府間パネルは指摘する。
今回のCOP28では、各国の対策の進捗(しんちょく)を初めて検証する。その上で、再生可能エネルギーを30年までに3倍に増やすほか、化石燃料の段階的削減・廃止や途上国支援も議論する。2大排出国の米中は15日の首脳会談で、COP28を見据えて気候変動対策で協力することで合意しており、これを好機に各国も気候変動危機への結束をあらためて強めてもらいたい。
5月の先進7カ国(G7)首脳会議では、すでに「35年までに19年比で60%削減することの緊急性が高まっている」との認識で一致し、化石燃料の段階的廃止で合意している。化石燃料対策は欧州連合(EU)が強く求めており、COP28でどこまで踏み込むかを注視したい。
化石燃料に依存する日本は、石炭火力発電でのアンモニア混焼の技術開発などを進めるが、NGO団体から石炭火力の「延命」とも指摘される。日本は再生可能エネルギーの主力電源化を目指しつつ、安全が確認された原子力発電所の再稼働や二酸化炭素(CO2)回収・貯留、省エネ投資など国内経済にも資する対策で環境に貢献したい。
先進国の温室効果ガスで気候災害を被る途上国への支援では、中国や産油国も資金拠出国に加えたい。各国は粘り強く一致点を模索してもらいたい。
(2023/11/30 05:00)
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