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(2024/5/27 05:00)
工場勤務は貴重な経験
(総合1から続く)東京海洋大学海洋生命科学部に進み、大学院海洋科学技術研究科の博士前期課程食機能保全科学専攻を修了して2020年4月、エバラ食品に入社しました。就職先に考えたのは食品メーカーだけです。母の味は百人百様。加工食品の中でも調味料は使い方によって料理自体の味が変わります。記憶に刻まれる母の味、それを決める調味料に興味を持ちました。
海洋大といっても、食品生産科学科ではさまざまな食材・食品の加工・保存方法を科学的に検証し、おいしく健康に役立つ食べ物を作るための理論と技術を学びます。研究テーマにしたのはマイクロ波によるジャガイモの加工。誘電加熱に伴う硬さの変化やでんぷんの変質を調べ、用途に合わせた加工条件を計算で求められるようにします。それが結果的に生産を効率化し、省エネにもつながります。
最初の配属は津山工場(岡山県津山市)でした。看板商品の焼き肉のたれをはじめ、西日本地区の家庭用調味料の生産拠点です。生産技術課で日常の品質検査・衛生管理のほか工程改善にも臨み、学んできたことを多少なりとも生かせたと思っています。
テクニカルセンター食品研究一課への異動は22年4月。企画立案された新商品のコンセプトを具現化するのが仕事です。これまでに四つの製品を市場に送り出しました。職場の調理台でうまく味づくりができても、簡単に量産できるものではありません。工場勤務は貴重な経験で、同僚から相談もよく受けます。生産現場から現在の味づくりへと、商品化プロセスをさかのぼってきたので次はコンセプト設計もやってみたい。
横浜勤務になってキックボクシングを始めました。オンとオフのメリハリですね。(文=横浜・青柳一弘、写真=編集委員・木本直行)
◇エバラ食品工業 テクニカルセンター食品研究一課 川口毬(かわぐち・まり)さん
(2024/5/27 05:00)