(2024/5/31 05:00)
中国の2024年の実質国内総生産(GDP)成長率が5・0%となる見通しだ。国際通貨基金(IMF)が4月時点の予測を0・4ポイント上方修正した。中国政府の目標「5%前後」をクリアすることになる。ただ、デフレ圧力を強めた不動産不況への抜本的な対策は講じられず、先行きは楽観できない。中国共産党は7月、経済の中長期的な方針を決める予定だ。内需を喚起する効果的な施策が打ち出されるのか、行方を注視したい。
IMFは、中国の1―3月期の実質成長率が5・3%(年率換算)と好発進したことから、24年の実質成長率の見通しを上方修正した。1―3月期は自動車関連・電子部品などの生産やインフラ投資などの固定資産投資、輸出が堅調に増えた。中国の地方政府が在庫住宅を買い取り、低価格で転売する方針を決めたことも好材料とみている。
ただ1―3月期の開発投資は前年同期比9・5%減と不動産市場の停滞が続く。不動産不況は内需や地方財政に影響を及ぼし、小売売上高は前期(23年10―12月期)の伸び率を下回る。国有地の使用権を不動産会社に売却する地方政府も打撃を受けており、在庫住宅の買い取りがどこまで進むかは不透明だ。
堅調な生産や輸出も、中国政府の産業支援による過剰生産が背景にあるとみられる。25日の先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、中国が過剰生産した廉価な電気自動車(EV)や太陽光パネルなどの流入を強くけん制した。中国は外需に活路を見いだしたい意向とみられるが、公平な競争条件を順守することが先決だろう。まずは本格的な不動産対策を講じることを優先する必要がある。
中国共産党は7月、「第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)」を開催し、中長期の経済政策の方針を決める。党の重要会議で、不動産不況や少子高齢化への対策などが議題になるとみられる。IMFは未完成住宅の早期完成や購入者支援の必要性を指摘する。世界経済に多大な影響を及ぼす中国は、不動産対策と同時に、過剰生産も早期に是正する必要がある。
(2024/5/31 05:00)
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