(2024/2/9 12:00)
プラントDXへの思い伝える
―日揮ホールディングス(HD)で液化天然ガス(LNG)などのプラントを設計してきました。
「海外をフィールドに仕事をしたく、日揮に入社した。大学院では環境物理工学を専攻し、環境に負荷を与えないプラント建設に関心があった。環境負荷が低いLNGプラントの部署に配属され、プロセス設計に20年超携わった。やりたいことを実現できたと思った頃、世の中にデジタルの波が起きた」
―デジタルと関わるようになったことが現在につながります。
「社内向けだけでなく、2017年ごろから社外、顧客のデジタル化を担当した。プラント操業のデジタル化に本格的に取り組む中で、仮想現実(VR)を活用した製品を発売した。これを世に広めるために会社を作りたいと提案し、22年にブラウンリバース(横浜市西区)を設立した」
―設立後の取り組みや出版した経緯は。
「300―400の事業所と話した。デジタル変革(DX)をやりたいが、どう手を付ければいいかという声を聞いた。以前に比べ、我々の説明を理解してくれる人がかなり増えた。顧客は予定通り獲得できている。そうした中で、製品の機能がアップデートされることもあり、時間が経つにつれ、私自身の言動も変わってきた。基本的な部分は変わらないが、表現を変えることで共感を得られやすくなった。ただ、いったんこのタイミングで言語化すれば、後々振り返れると思った」
―シンプルなタイトルです。
「製造業は3次元(3D)で変わるという意味を込めた。副題は我々の強みであるファストデジタルツインを活用すれば、顧客のDXを加速できるという意味だ」
―何を伝えたいですか。
「プラントは設備が巨大で人が多い。部署ごとに最適化してきたが、頭打ちになっている。こうした当たり前をDXでちゃぶ台返ししたい。デジタル化は、やり方そのものを変える。デジタルツインでどういう世界に変わるかを言語化した。我々は3Dの製品を持つが、顧客は使えるイメージがなければ手を出せない。皆がグーグルマップを日常的に使うように、プラント版のグーグルマップを目指したい。世界中のプラントを我々の製品でグーグルマップのようにしたい」
―横浜国立大学総合学術高等研究院(IMS)の田辺雅幸客員准教授との共著です。
「最後の第8章に田辺氏との対談を掲載した。田辺氏は安全工学の権威だ。日本の行政の方法ではプラントの安全にほころびが出るので、欧米のリスクアセスメントの手法を取り入れるべきだと主張されている。対談では、リスクアセスメントは最終的に3Dに帰結するという結論になった。我々の製品は安全にも活用できるだろう」
―どんな人に読んでもらいたいですか。
「今までボトムアップのアプローチで営業し、行けるところは行ったが、トップダウンも必要だ。経営者に読んでもらいたい」
(2024/2/9 12:00)
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