(2024/6/10 12:00)
SUBARU(スバル)は自社の運転支援システム「アイサイト」に人工知能(AI)を融合して、安全性を向上させる研究に力を注いでいる。東京・渋谷にある「SUBARU Lab(スバルラボ)」でAIの開発に取り組むとともに、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)と協業を始めた。次世代アイサイトの開発を進め、オープンイノベーションでスバルが掲げる「2030年の死亡交通事故ゼロ」の実現につなげる。
「今後クルマを変えるのはAI。次のブレークスルーにつなげる」。スバルの柴田英司執行役員最高デジタルカー責任者(CDCO)はこう力を込める。
アイサイトはステレオカメラによる認識と制御で、クルマや歩行者、白線などを識別。事故が起きる前に危険をいち早く察知し、安全運転をサポートする。現在開発中の次世代アイサイトではAIとの融合がテーマ。その研究を進めるのがスバルラボだ。IT企業が集積する渋谷で、人材を呼び込み、イノベーションを生み出す。
スバルはアイサイトの技術を内製で開発し、クルマの商品開発と一体となったモノづくりを実施してきた。ただ、雨や霧、夜など画像処置はより複雑になる。AIとの融合で画像の詳細を分析することで走行可能エリアなどの判断がより高精度にできる。「バラエティーに富む環境の中でどこをどう走るのがクルマとして正しいのか。AIが補完して信頼度を高められる」とスバルラボの金井崇副所長は説明する。
研究を進める自動運転でもAIがカギを握る。現状の自動車専用道とは異なり、一般道では白線がしっかり引かれていないケースや雪道で白線が見えないケースもある。多種多様な運転のシチュエーションがあり、より多くのデータから正確なアノテーション(注釈)が必要となる。
次世代アイサイトの開発ではAMDと協業し、AMDのプログラミング可能な集積回路(FPGA)ベースのシステムオンチップ(SoC)の第2世代品の採用を決めた。アイサイト用に最適化し利用しない部分を削減し必要な機能を搭載する。
死亡交通事故ゼロの実現には高い予防安全機能を最上位車種だけではなく全車種に搭載することが必要だ。次世代アイサイトの進化した機能を「アフォーダブル(手の届く)」な価格で提供するためにはコスト視点も欠かせない。SoC最適化のため半導体回路設計までこだわることで高い目標を実現していく。
(2024/6/10 12:00)
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