6軸アームで配管ユニット溶接 三興バルブHD、新技術導入で若者・女性の参入後押し

(2024/6/10 12:00)

  •     エフライズの6軸アーム溶接ロボットシステム

三興バルブホールディングス(HD、福岡市博多区、長崎洋也社長)は、配管設備資材を扱う専門商社グループ。商社機能にとどまらず、傘下企業が役割分担して建設現場の調査から設計・作図、資材調達、加工、工事、納品まで一貫で事業を完了する。その中で調査と配管加工など製造を担うのが、独自の6軸アーム溶接ロボットシステムを擁するエフライズ(同、岡本創一朗社長)だ。

エフライズは2020年に創業し、従業員は24年3月時点で21人。建設現場に必要な配管プラントなどを生産工場の宮若.BASE(ベース、福岡県宮若市)であらかじめ加工、組み立て、ユニット化して現場に納入するプレハブ工法を得意とする。これにより現場作業は5分の1以下に減らせるという。人手不足や時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」など、建設業界が抱える課題の解決や働き方改革の実現につなげる。

同ロボットシステムは川崎重工業の関連会社である川重ファシリテック(兵庫県播磨町)と共同開発した。溶接技能者の経験値をプログラミングに反映した。「オーダーメードの一品モノにも対応できるのが強み。5年後、10年後を見据えて開発した」(岡本エフライズ社長)。

配管をつかみ回転・静止させる溶接治具のポジショナーと6軸アームロボットが連動して、電流値を調整しながら円形の配管同士を溶接する。最大で直径500ミリメートル前後の配管を溶接できる。エフライズは同ロボットシステムと3次元カッティングマシン、精密機械向けステンレス専用溶接機、3次元計測装置などの連動も実現した。

配管の全工程を一貫で手がける三興バルブHDのビジネスモデルは、建設業界から高い評価を受け、首都圏の大型開発プロジェクトの建築物の熱源配管プラントにも採用された。

課題は配管工事業界全体の事業承継への対応。「今後もロボットやデジタル技術の導入で、若い世代や女性が参入しやすい働き方、環境づくりを推進する」(同)考えだ。

(2024/6/10 12:00)

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