(2024/7/24 05:00)
東・南シナ海への海洋進出にとどまらず、ウクライナに侵攻するロシアを経済・軍事両面で支える中国。台湾統一も「核心的利益」と位置付け、国際秩序を脅かし続ける。北大西洋条約機構(NATO)や日米比などの枠組みで毅然と対応し、中国をけん制する必要がある。ただ日本は中国とは安全保障を除く分野で協力関係を模索し、緊張を緩和する外交も求められる。中国とは対話を重ね、「対立と協力」の均衡を保ちたい。
NATO首脳会議は10日に首脳宣言を採択し、中国はウクライナに侵攻するロシアの「決定的な支援者」になったと強い懸念を示した。その上で、中国に対し対ロ支援の停止を求めている。中国はロシアへの経済制裁の抜け道となり、2023年の中ロの貿易総額は過去最高の約2400億ドル(約37兆円)。ロシアの防衛産業も支援する。
中国はアジアにとどまらず欧州でもリスク要因となり、欧州とアジアの安全保障は不可分となった。米国は世界の警察ではなく、NATOにはアジアへの関与を一段と強めてほしい。ただ米大統領選でトランプ氏の再選となればNATOが十分に機能しない可能性があり、大統領選の行方には警戒したい。
中国は南シナ海で領有権をめぐりフィリピンと対立する。フィリピン海軍の補給船に中国船が衝突するなど緊張が高まる。日本とフィリピン両政府は8日、両部隊の相互往来をしやすくする「円滑化協定」に署名し、日本はフィリピンを準同盟とした。フィリピン―台湾間のバシー海峡は軍事上の要衝で、フィリピン北部の東シナ海・尖閣諸島周辺では中国艦船が航行する。日本とフィリピンは同盟国・米国とともに、力による現状変更を許さないとのメッセージを中国に送る必要がある。
中国の反スパイ法などのリスクや米国の対中規制により、対中直接投資が減少している。23年は前年比で8割も減った。ロシア支援や台湾への威圧、東・南シナ海への海洋進出が続く限り、外国企業の中国離れに歯止めがかからないと習近平政権は真剣に受け止めてもらいたい。
(2024/7/24 05:00)
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