(2024/7/23 05:00)
バイデン米大統領が大統領選からの撤退を表明し、トランプ前大統領の再選が現実味を帯びる。トランプ氏再選なら米国と世界の分断が深化し、国際秩序を脅かしかねない。「選挙イヤー」の2024年は、世界で現政権批判や自国第一を支持した投票が相次ぎ、この流れが加速しないか懸念される。米有権者はトランプ氏を選ぶのか、同氏もバイデン氏も望まない「ダブルヘイター」が新たな民主党候補に傾くのか、注視したい。
民主党の指導部がバイデン大統領に撤退を促したのは、大統領選と同時に行われる上下両院選挙での苦戦も見据えてのことだろう。トランプ氏の政策綱領には日米同盟やウクライナ情勢、台湾問題への言及がなく、米国第一が強調された。トランプ氏再選でも「ねじれ議会」となれば、民主党の意向も一定程度反映されると期待できる。
81歳のバイデン大統領の度重なる言い間違えは老いを感じさせ、銃撃事件に屈しないトランプ氏を共和党支持者は強い指導者とあがめる。加えてバイデン政権下での長引くインフレ、出口の見えないウクライナと中東情勢、格差拡大への白人労働者の不満が背景にあると言える。
6月の欧州議会選挙は、米大統領選と構図が重なる。ウクライナ情勢にインフレや移民流入などを受け、欧州連合(EU)懐疑派・右派政党が議席の2割超を獲得した点が懸念される。
再選したトランプ氏が、ウクライナ領土をロシアに割譲する停戦を促せば、中国の台湾統一が勢い付く。イスラエルへの強い支持は中東情勢を悪化させかねず、パリ協定(気候変動問題に関する国際的枠組み)からの再離脱や対中関税引き上げによる米中対立の先鋭化も心配だ。
当面の焦点は、バイデン大統領が推薦するハリス副大統領ら民主党の次期候補者の集票力でダブルヘイターの投票がハリス氏らに流れるかが注目される。ねじれ議会となるかも含め、有権者の民主主義への思いとバランス感覚に期待したい。大統領選はまだ終わってはいない。
*「中国の行方㊦」は24日に掲載します
(2024/7/23 05:00)
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