独金属加工見本市が開幕 日系工作機械メーカー、欧向け受注足がかり

(2024/9/10 05:00)

労働者不足・エネ高騰 DXで解決策提案

  • 22年に開催されたAMB

国際的な金属加工技術の見本市「AMB2024」が、ドイツ南西部シュツットガルトで10日に開幕する。日本の工作機械メーカーの欧州向けの受注は伸び悩むが、浮上のきっかけをつかむ機会として期待がかかる。労働者不足やエネルギー価格の高騰といった課題に、日系各社は生産性の向上やデジタル変革(DX)などにより解決策を提案する。(米シカゴ=編集委員・西沢亮)

AMBはドイツ語圏最大の金属加工の展示会とされ、2年に1度開催される。2024年度は工作機械や生産システム、精密工具、測定システム、デジタル化、自動化などの展示エリアに、30カ国から1200社以上の企業が出展する。会期は14日まで。

DMG森精機はDXで工程集約や自動化を進め、グリーン・トランスフォーメーション(GX)を実現する「マシニング・トランスフォーメーション(MX)」の提案に力を入れる。会場ではMXを推進する製品や自動化システムを、複数の世界初公開も含めて展示する。その一つが第5世代となるターニングセンター「NLX2500/700 2nd Generation」で、高い剛性や熱安定性、加工精度、切りくず処理性を実現。ミーリング能力の向上と主軸貫通穴径の拡大により、多種多様な加工対象物(ワーク)の加工で工程集約や自動化を後押しする。

同社幹部は工程集約、自動化、DX、GXをそれぞれ独自の役割を担うMXの柱と位置付け、「AMBでは四つの柱を可能な限り緊密に連携させることが、製造業の効率性と生産性に大きな影響を与えることを実証する」と強調する。

牧野フライス製作所は5軸制御横型マシニングセンター(MC)「a500iR」を欧州で初めて公開する。毎分1万4000回転の主軸を採用。出力特性の改善で高速回転時の出力を同社従来機と比べ40%向上し、鋳物やアルミニウムなど幅広い材料の加工で生産性を高められる。自動車や航空機、半導体製造装置などの部品加工需要を取り込む。

エンシュウは協業する独工作機械メーカーのシュヴェービッシュ・ヴェルクツォイクマシーネ(SW)のブースで、横型MC「GE480H」を出展。同MCはシリーズ機を含め欧州市場で広く受け入れられており、AMBへの出展を通じてSWとの協業を本格化する。

日本工作機械工業会(日工会)によると7月の欧州の受注額は、前年同月比23・2%減の147億円と7カ月連続で減少した。自動車など一部を除き全体的に需要が減少し、39カ月ぶりに150億円も割り込んだ。日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は欧州の受注状況について「当面は落ち着いた展開が続く可能性が高く、大きな落ち込みはない」との見通しを示す。重たい市場をAMBでどこまで活性化できるかが注目される。

(2024/9/10 05:00)

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