(2024/10/31 00:00)
通信機能付きの高精度測定器「μMATE+(ミューメイトプラス)」を開発するマグネスケールは、同機を活用した測定作業の効率化を提案している。JIMTOF2024では協働ロボットとμMATE+を組み合わせた自動測定をアピール。人手に頼らざるを得なかった測定作業を自動化することで、人手不足問題の解決に貢献する。
μMATE+は「電気マイクロメータのような超高精度な測定器を手頃な価格で提供したい」(松田豊彦電気ソフト設計部長)との思いから開発がスタートした。デジタル式の表示器「LU20」とレバーゲージ「DM10」で構成され、固定したレバーゲージをワークに押し当てて倣わせることで、面のうねりや傾き、芯揺れなどの微小な変位を測定する。こうした測定に一般的に使われるてこ式ダイヤルゲージは安価な半面、測定者が目視で測定値を読み取り、手書きで記録する必要がある。対してμMATE+は、測定値がLU20にデジタルデータとして保存されるため、読み取りや書き取りに伴うミスが起こらない。測定者によるばらつきもなくせる。
LU20はBluetoothでデータ送信できる機能を備えるのも特徴。同社はPCで受け取った測定データをExcelに自動入力したり、スマートフォンやタブレットで測定結果の傾向を確認したりできるアプリケーションソフトも提供する。機械加工部品の歩留まりや仕上がり寸法の傾向を「見える化」でき、加工条件や工具交換頻度の見直しに役立てられる。
複数種類の測定をロボ1台で
μMATE+はLU20が先行発売されており、DM10は2024年内の発売を目指して開発が続く。そこで同社では、LU20を活用した自動化提案に力を入れてきた。その1つが測定具メーカーの東海挾範株式会社との連携。24年夏に開催された展示会・ロボットテクノロジージャパンでは、先端にLU20を装着した協働ロボットが、東海挾範株式会社製の測定具を使いワークを自動測定するデモを披露した。ワークに押し当てたときの測定具の動きをマグネスケール製のセンサで捉え、LU20が記録、BluetoothでデータをPCに送信して結果を表示する。測定具を付け替えながら、径の異なる穴の内径や穴の深さなどを自動測定する様子は来場者の注目を集めた。LU20の開発者である松田部長は、「測定具の主要ユーザーである自動車業界では手作業での測定が多い。『こんなことができるのか!』という驚きの声を数多くいただいた」と手応えを語る。JIMTOF2024では、LU20と東海挾範株式会社製測定具とを組み合わせたモジュールを用意。協働ロボットがモジュールを脱着しながら、内径、深さ、外径の3種類の測定を行うデモを予定する。
分解能0.1μmを実現
DM10については、ゲージ先端の振れ幅を測定するセンサは開発済みで、現在はセンサの能力を最大限に引き出せる機構部の開発に力を注ぐ。完成すれば、電気マイクロメータ並みの分解能0.1μmが実現する。開発担当の中川信洋ゲージ・DRO設計課長は「できるだけシンプルな機構にして目標スペックを達成したい」と意気込みを語る。
LU20とDM10はセット価格で15万円前後を予定。先行発売したLU20で自動化のための知見を蓄えながら、DM10でアプリケーションの拡大の構えだ。
(2024/10/31 00:00)