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日立と東大生研が、超省エネルギー型ビッグデータ基盤の実現に向けた主要技術を研究開発

(2021/9/2)

カテゴリ:商品サービス

リリース発行企業:株式会社 日立製作所

日立と東大生研が、超省エネルギー型ビッグデータ基盤の実現に向けた主要技術を研究開発

同一消費電力で従来比200倍超のデータ分析処理を実現

 株式会社日立製作所(以下、日立)と国立大学法人東京大学 生産技術研究所(以下、東大生研)は、このたび、超省エネルギー型のビッグデータ基盤の実現に向けた主要技術を共同で研究開発しました。具体的には、ビッグデータ基盤のデータベースエンジンにおける処理方式を、エネルギー効率最適化の視点で抜本的に変更することで、同一消費電力で従来比200倍超のデータ分析処理を実現しました。今後、日立と東大生研は、ビッグデータの活用による社会課題・経営課題の解決と、環境負荷の低減を両立する高度なコンピューティング技術の一つとして、本技術を活用した超省エネルギー型のビッグデータ基盤の実用化をめざします。


 今回の共同研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2016年度から2027年度にかけて展開している「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発*1」において、「先進IoT サービスを実現する革新的超省エネルギー型ビッグデータ基盤の研究開発」として助成を受け、日立と東大生研が取り組みました。

 近年、あらゆるビジネスを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される中、企業が扱うデータ量は爆発的な増加を続けています。データは価値の源泉ですが、その利活用には蓄積・分析のための多数のハードウェアが必要であり、その結果、ITシステムが消費する電力量はますます増大し、省エネルギー化が課題となっています。この課題解決に向けては、従来取り組まれてきたハードウェアだけでなく、今後はハードウェアを制御するデータベースエンジンなどのミドルウェアも含めたITシステム全体でのエネルギー効率の向上が必要です。
 現在、持続可能な未来を実現するために、環境負荷を低減する脱炭素化と気候変動対策への取り組みが全世界で加速していますが、ITシステムの省エネルギー化を実現することで、温室効果ガスの排出量削減にも貢献できると考えられます。

 日立と東大生研は、長年にわたり、超高速データベースエンジンなどの研究開発を共同で行ってきましたが*2、今回、環境負荷低減の観点で、超高速でありながら超省エネルギー型のデータベースエンジンの開発に取り組みました。
 また、2021年6月に国際規格として発行された*3 ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたアプリケーションプラットフォームのエネルギー効率指標を活用し、評価を行ってきました。
 具体的な研究開発成果は以下の通りです。

■日立と東大生研による主な研究開発成果
1. 超精密性能・消費電力モデルの構築と高度制御手法の確立
 データベースエンジン内のストレージにおけるアクセスされていない領域の電源をオフにし、必要な際に遅延なくアクセスでき、かつ、省エネルギー効果を最大化する電源オン・オフ管理に必要となる超精密モデルとそれを基にした電源管理機構を開発し、データベースエンジンに適用しました。また、超精密モデルを基に、省エネルギー化の観点から最適なハードウェアの電源制御を定義し、データへの問い合わせ実行中に最適なデーターベースアクセスを判断する動的問合せ最適化方式*4を確立しました。

2. 商用利用を想定した超省エネルギー型データベースエンジンの設計と実装
 商用利用を想定して1で開発したデータベースエンジンを設計・実装し、それを活用して消費電力のピークカット機能などの設計・実装を行いました。
 これらの商用利用を想定した効果検証として、鉱山露天掘りの機器稼働管理IoTシステムを模した実証実験を実施しました。実証実験では、鉱石を積み込むトラックに設置したセンサーから2週間分の積載量データを取得し、データ分析処理におけるエネルギー効率の評価を行った結果、一般的に利用されている従来型のデータベースエンジンと比較し、同一消費電力で従来比200倍超のデータ分析処理を確認しました。これにより、データ分析処理の省エネルギー化を実現し、CO2排出量の削減に貢献できます。

 今後も、日立と東大生研は得られた知見やノウハウを生かしながら、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会である「Society 5.0」の実現に向けた研究開発を進めていきます。
 また、日立は、データから価値を創出するLumada*5事業を核に社会イノベーションを推進し、「安心・安全」「環境」「レジリエント」の3つの領域で価値を提供していきます。その一環で、重要なITインフラとして本技術の実用化をめざしていきます。
*1 高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発
https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100123.html
本技術開発のなかで、日立と東大生研は2016年度から2018年度にかけては委託を受け、2019年度、2020年度は助成を受け、本研究開発を行ってきました。
*2 2013年8月、東大生研、日立ニュースリリース「東大生研と日立が共同研究開発中の超高速データベースエンジンがフラッシュストレージ環境において従来型データベースエンジン比で約100倍の処理性能を達成」
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2013/08/0806.html
*3 2021年6月、経済産業省ニュースリリース「ソフトウェアに着目したITサービスのエネルギー効率指標の算定方法が国際規格になりました」https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210621005/20210621005.html
*4 データベース上にあるデータへの問い合わせ(アクセス)を実行する最も効率的な方法を、状況に応じて判断する方式。
*5 お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューショ
ン・サービス・テクノロジーの総称

■日立製作所について
 日立は、OT(Operational Technology)、IT(Information Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2020年度(2021年3月期)の連結売上収益は8兆7,291億円、2021年3月末時点で連結子会社は871社、全世界で約35万人の従業員を擁しています。日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション/サービス/テクノロジーであるLumadaを通じて、モビリティ・ライフ・インダストリー・エネルギー・IT・オートモティブシステムの6分野でお客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速することで、社会価値・環境価値・経済価値の3つの価値向上に貢献します。
 また、日立は、COP26のプリンシパル・パートナーとして、脱炭素社会の実現に向けて主導的な役割を果たし、気候変動領域のイノベーターとなることをめざしています。2030年度までにすべての事業所でカーボンニュートラルを実現し、2050年度までにバリューチェーン全体でCO2排出量を80%削減することを目標としています。

詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。

■国立大学法人東京大学 生産技術研究所について
 東大生研は、国内最大規模の大学附置研究所で、約400名の教職員、約800名の大学院学生、総勢1,200名以上が、教育研究活動に従事しています。工学のほぼ全領域を包含する総合工学研究所また世界的中核研究所として、先端的な工学知の創造・発信と実践的な人材の育成を両輪とし、社会における様々な課題の解決や産業の創成に貢献し、数多くの分野融合かつ国際的な活動を組織的に展開しています。

 詳しくは、東大生研のウェブサイト(https://www.iis.u-tokyo.ac.jp/)をご覧ください。

以上

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