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(2018/10/19)
カテゴリ:その他
リリース発行企業:株式会社ディーエイチシー
第7回国際フードファクター会議(ICoFF2019、神戸、2019 年12 月1-5 日) で発表予定
株式会社ディーエイチシー(本社:東京都港区、代表取締役会長 兼CEO:吉田 嘉明、以下:DHC)は、国立大学法人東京海洋大学の松田寛子特任助教※と共同で、オリーブオイルは野菜や穀物などに含まれるレジスタントスターチを効率的に増加させる効果があることを明らかにしました。本研究は第7回国際フードファクター会議(ICoFF2019、神戸、2019 年12 月1-5 日) で発表する予定です。
株式会社ディーエイチシー(本社:東京都港区、代表取締役会長 兼CEO:吉田 嘉明、以下:DHC)は、国立大学法人東京海洋大学の松田寛子特任助教※と共同で、オリーブオイルは野菜や穀物などに含まれるレジスタントスターチを効率的に増加させる効果があることを明らかにしました。本研究は第7回国際フードファクター会議(ICoFF2019、神戸、2019 年12 月1-5 日) で発表する予定です。
【研究の背景】
レジスタントスターチはカボチャやポテトなどの野菜や穀物に含まれている難消化性のデンプンであり、通常のデンプンに比べて身体へ吸収されにくい性質を持っています。レジスタントスターチの摂取は腸内環境を改善し排便を促進させる効果が知られているほか1)、血糖値の上昇抑制2)や食後の脂質吸収を抑制する3)など、さまざまな機能性を持つ成分として注目されています。
最近になって、調理の仕方によって穀物や野菜のデンプンがレジスタントスターチの量が異なることが明らかとなり2)、調理の温度や調味料の添加など調理方法を工夫することによってレジスタントスターチの効率的な増加が期待できると考えられています。これは、調理方法次第で日常の食生活をより健康志向の高いものへ改善できることを意味します。
カボチャは家庭で長く親しまれてきた緑黄色野菜の一つであり、カロテンやビタミンも豊富な食材として好まれています。また、その独特な甘みから、カボチャを使ったお菓子のレシピ特集が組まれるなど女性を中心にスイーツの食材としても高い関心が寄せられています。一方、デンプンがカボチャ全体の5~10%を占めており、糖質制限ダイエットなどの観点から「カボチャを食べると太る」というイメージをもたれています。そこで、調理によってカボチャに含まれる難消化性デンプンであるレジスタントスターチを効率的に増やすことができれば、そうした負のイメージも払拭できるものと考えられます。
オリーブオイルはオレイン酸を多く含むことから酸化劣化に強い調理油として知られているほか、抗酸化成分を豊富に含んでおり美肌効果や様々な健康促進効果を持つことが知られています。一方、調理時に使用した際に、サラダオイルなど他の調理油と比べてどのような効果があるのかについては、ほとんど検証がなされていません。そこで本研究では、オリーブオイルの調理油としての有益性について、カボチャ由来デンプンのレジスタントスターチ化に対してどのような影響をもたらすのかを明らかとするために検証を進めました。
※現 学校法人日本医科大学 日本獣医生命科学大学 講師
【新事実1.】レジスタントスターチは、オリーブオイルで調理した後、冷蔵することで効率よく増加する [サラダ調理の想定試験]
カボチャのサラダを調理する場合、サラダオイルを使用して加熱調理後、冷蔵庫にて冷蔵保存することが想定されます。カボチャ由来のデンプンを1.オイル(調理油)なし、2.サラダオイル使用、3.オリーブオイル使用のそれぞれ3つの条件にて100℃で20分間加熱調理し、冷蔵庫に1日保存した後でレジスタントスターチの量がどのように変化するかを検証しました。
その結果、3ついずれの調理条件においても、レジスタントスターチの量は調理後に1日冷蔵した方が調理直後よりも増加していました。なかでも、オリーブオイルでの調理は他の2つに比べて増加が顕著で、調理直後に比べておよそ2倍レジスタントスターチを増加させることが明らかとなりました。
【新事実2.】オリーブオイルは、バターやココナッツツオイルよりも効果的にレジスタントスターチを増加させる [スイーツ調理の想定試験]
カボチャのスイーツを調理する場合、バターやココナッツツオイルを使用して加熱調理後、冷蔵庫にて冷蔵保存することが想定されます。そこで、カボチャ由来のデンプンを1.オイル(調理油)なし、2.バター使用、3.ココナッツオイル使用、4.オリーブオイル使用のそれぞれ4つの条件にて100℃で20分加熱し、冷蔵庫に1日保存した後で、デンプン100 gあたりに含まれるレジスタントスターチの量を比較しました。
その結果、バターおよびココナッツオイル使用の場合、レジスタントスターチの量はオイル(調理油)未使用の場合よりも少なくなることが明らかとなりました。一方、オリーブオイルは、4つの条件のなかで最もレジスタントスターチの量が多くなることが明らかとなりました。
【まとめ】
本研究において、サラダ調理とスイーツ調理を想定した2つ試験を行い、何れの場合においてもオリーブオイルはレジスタントスターチを効率的に増加させることが示されました。
こうした顕著な効果が得られた要因の一つとして、加熱調理の後に冷蔵保存するというひと手間を加えることが挙げられます。そのため、サラダ調理においても加熱調理後に一定の時間だけ冷蔵庫などで保存すれば、オリーブオイルの効果をさらに引き出せることが期待できます。これまで調理にオリーブオイルを使用することは、香り付けや嗜好性を高める目的が主でした。今回の調理化学という新しい分野でオリーブオイルの研究を進めた結果、健康志向にも役立つオリーブオイルの新たな可能性が示されました。今後、さらにオリーブオイルの調理油としての有益性について研究を進めていく予定です。
【参考文献】
1) A. Margareta Leeman, L. Mattias Barstrom and linger M.E. Bjorck. In vitro availability of starch in heat-treated potatoes as related to genotype, weight and storage time. J. Sci. Food Agric., 85, 751-756 (2005).
2) Eri Udagawa, Hiroko Matsuda, Mamiko Tanaka, Takaaki Shirai. The Effect of Heat-acid Treatment on the Formation of Resistant Starch and the Estimated Glycemic Index in Potatoes. J. Appl. Glycosci., 64, 75-80 (2017).
3) Hiroko Matsuda, Koudai Kumazaki, Ryo Otokozawa, Mamiko Tanaka, Eri Udagawa. Resistant starch suppresses postprandial hypertriglyceridemia in rats. Food Res Int., 89, 838-842 (2016)
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