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ロヒンギャ難民危機:新年度授業開始、子ども14.5万人以上参加【プレスリリース】

(2019/1/28)

カテゴリ:その他

リリース発行企業:公益財団法人日本ユニセフ協会

ロヒンギャ難民危機:新年度授業開始、子ども14.5万人以上参加【プレスリリース】

1人ひとりへ、質の高い教育を


学習支援センターに通う子どもたち。(C) UNICEF_Bangladesh


【2019年1月24日 コックスバザール(バングラデシュ)発】

新年度を迎えたバングラデシュ南東部に暮らすロヒンギャ難民の子どもたち14万5,000人以上が、ユニセフ(国連児童基金)が支援する学習センターに通い始めました。

ミャンマーでの暴力から逃れてきた子どもたちに必要不可欠な教育の機会を提供するために、これまで人道支援機関が協力して、キャンプ全土に約1,600カ所の学習センターを設置し連携することに多大な努力をしてきました。これからの重要課題は、いまでも教育を受けていない何千人もの子どもたちに機会を提供していくことです。

最終的には5,000人の先生とロヒンギャのボランティアによって運営される2,500カ所の学習センターのネットワークに拡げ、今年中に26万人の子どもたちが通えるようにすることを目的としています。

「大規模なロヒンギャ難民危機には、迅速な対応が求められてきました」とユニセフ・バングラデシュ事務所代表エドゥアルド・ベイグベデルは述べました。「しかし、緊急的なニーズに対応するだけでは、すべての子どもたちに対応できませんでした。今年は、子どもたちに対する教育の質を高めることに重点を置きながら、より多くの子どもたちに教育の機会を提供できるよう規模を拡げていきます」

バルカリ難民キャンプの学習支援センターの外に座る女の子たち。(2018年3月撮影) (C) UNICEF_UN0203363_Sokol
より多くの学習センターを設置することは、ユニセフが発表した、難民キャンプに暮らす子どもたちに質の高い教育の機会を提供するための広範囲かつ包括的なイニシアティブの一環です。

「ここに来るようになってもうすぐ1カ月」とミナラさん(11歳)は言います。彼女は、ミャンマーでは4年生でしたが、バングラデシュに来てからは、学習センターの泥の床や暑さが嫌で通わなくなっていました。「ここは快適よ。床が泥だらけじゃないから」とユニセフのパートナー団体CODECがクトゥパロン(Kutupalong)難民キャンプに建設した新しい教室を見渡しました。

視覚障害のあるモタラブさん(12歳)は、学校に通っていることが確認できている障がいのある子ども約600人のひとりです。昨年、先生が彼を教室に通わせるよう母親を説得しました。教室に戻ることで、彼の雰囲気は目に見えて明るくなり、より積極的になり、今は詩を詠むのが楽しいと言います。

学習モジュールや授業計画を拡大することで、難民キャンプにおける教育の質を高めています。元々いた先生も新しく先生になった人たちも開発研修プログラムに参加しています。

「多くの子どもたちが銃弾や激しい暴力を受け、心身ともに傷を負っていることも、彼らの移動を制限しサービスを受けにくくしています。多くの子どもたちに、学習能力、身体能力、視覚能力、言語能力に障がいがあります」とユニセフ・コックスバザール現地事務所の教育担当官イファット・ファルハナ(Iffat Farhana)は述べました。「これらのすべての子どもたちに学ぶ権利があります。ユニセフは、学習センターと先生を増やすことで、すべての子どもたちが学習し、成長し、彼らの可能性を実現できる機会を提供したいのです」

ユニセフは、若者を対象に、彼らが必要とする知識と職業技能を習得できる教育訓練もおこなっています。

現在、難民キャンプでは、15歳から18歳の若者のほとんどがいかなる教育も受けていません。この若者たちは極めて弱い立場にあり、児童婚、児童労働、人身売買、虐待そして搾取の対象にされやすいのです。

ユニセフが昨年発表した報告書の中で、このような若者たちに対して早急に対応しなければ、彼らが「失われた世代」になると警鐘を鳴らしました。

「ユニセフはこれらの支援を通して、その多くが極めて弱い立場に置かれている手の届きにくい子どもたちに、教育の機会を提供しようと努力しています」とベイグベデルは言いました。「私たちの目標は、すべての子どもたちが確実に彼らの将来を自分で決めるために必要な知識と技術を得られるようにすることです」

■補足説明

難民キャンプに暮らす18歳未満の子どもの数は約50万人、そのうち3~14歳は約30万人と推定されます。
2017年末にミャンマーでの暴力から逃れてきたロヒンギャの人々の数は約70万人で、現在難民キャンプに暮らす人の数は100万人近くです。
ユニセフなどの国連機関およびNGOは、難民キャンプ内にある教育施設のことを「学習センター(Learning Centres)」と呼んでいます。
ユニセフは2018年8月に発表した報告書、「危ぶまれる未来:ロヒンギャの子ども世代に希望を築く(原題:Future in the Balance: Building Hope for a Generation of Rohingya Children)」の中で、難民キャンプに暮らす10代の若者たちが「失われた世代」になる危険性があると警鐘を鳴らしています。報告書は、特に女の子の置かれた状況を憂慮すべきものとしています。
ロヒンギャの子どもたちは、難民キャンプの教室で、英語とミャンマー語に加えて、基礎的な読み書き、算数、ライフスキルを学んでいます。


* * *

■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )

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