[ オピニオン ]
(2016/5/26 05:00)
那覇空港の国際線ビルのすぐ裏。自衛隊の大型ヘリコプターは駐屯地の草地から、爆音とともに梅雨晴れの空に飛び立った。5分間ほど北上し、住宅に囲まれた米軍普天間基地の脇を通過する。
本島を横切り、10分間ほどで東海岸の辺野古岬に達する。埋め立て工事はストップし、眼下のサンゴ礁に白い波が砕ける。決して小さくはない沖縄本島だが、山がちで平地に乏しい地形がよく分かる。埋め立てという発想が出てくることもうなずける。
故・小渕恵三首相は先の大戦の激戦地である沖縄に学生時代から強い思いを寄せ、それまで東京ばかりだった主要国首脳会議(サミット)の地方開催を、まず沖縄にしたと当時の秘書官に聞いた。普天間の辺野古移設も、二千円札の守礼の門の図柄も小渕内閣が決めた。
那覇への帰路、ヘリは観光名所のひとつ「海中道路」にさしかかる。浅瀬を貫く一本道は、埋め立てで造成した石油備蓄基地の巨大タンク群に続く。ここは防衛だけでなく、エネルギー安全保障の最前線でもある。
沖縄から16年、北海道洞爺湖サミットから8年。伊勢志摩サミットがきょう開幕する。世界の安定と発展を目指す首脳の議論が、平和に資する実り多きものであることを期待する。
(2016/5/26 05:00)