[ ICT ]

インタビュー/グリー取締役・荒木英士氏「“スマホの次”VRに力」

(2016/7/21 05:00)

ゲーム事業への依存から脱却するため、ヘルスケアなど他事業に参入してきたグリー。さらなる可能性を求め、現在はVR(仮想現実感)技術を活用した事業に注力する。10月にはソニーがVR対応端末を発売するなど市場も盛り上がり始めている。VR事業を統括する荒木英士取締役に今後の方針を聞いた。

◇   ◇

―VR市場に参入する理由は。

「新しい技術を使いたいという気質は、創業時から脈々と続いている。(これまで)インターネットやスマートフォンが登場するタイミングでSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)やアプリなど新しいサービスが生まれてきた。VRはスマホの次のプラットフォームになると確信しており、そのタイミングで自分たちが(新サービスを)作る」

―どのようにVR事業を進めますか。

「三つのアプローチで進める。まずは主力のゲーム事業に活用する。ゲーム以外では、VRを活用する企業に投資する。このほかVR市場を広めるためのカンファレンスに取り組む。市場が広がった時に親和性があれば、ゲーム以外の分野にも参入したい」

―VRゲームの開発体制は。

「技術的には3Dゲームに近い。社内で3Dのチームを作っていたので、すんなりとVRゲームを開発できている。VR市場が拡大するには、VR対応端末の普及がカギを握る。良質なVRゲームが出てくれば、端末を買うという傾向が出てくるかもしれない。現在は20―30人程度が専任で開発しているが、今後は専任人材を増やして進めていきたい」

―VR事業で目指す姿を教えてください。

「この市場のマーケットリーダーになることだ。ゲームに関してはスマホだけでなく、家庭用ゲーム機向けやアミューズメント施設向けなどマルチで取り組む。当社のヘルスケアなど他事業への展開やグローバル展開も視野に入れている。新しい波を捉えて、1000億円台の売り上げを目指す」

【記者の目/他分野への活用カギに】

ここ数年でゲーム市場を取り巻く環境は急速に変化している。最近まで勢いのあったスマホゲームアプリも緩やかに失速してきた。そうした中、VR技術がどこまで消費者をひき付けるか注目される。また、ゲームだけではビジネス的な広がりは限定的だ。グリーにとって、他分野への活用方法を見いだせるかどうかもゲーム依存から脱却する上で重要になる。(松沢紗枝)

(2016/7/21 05:00)

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