[ 機械 ]
(2016/8/31 05:00)
【横型マシニングセンタ a120nx】
3点支持で世界最大級
マイクロメートル単位(マイクロは100万分の1)で金属を削るマシニングセンター(MC)。その精度故に工場内の環境を最適に保ち続けることが欠かせない。床(基礎)は重要な要素であり、MCの設置時、稼働後は極めて入念なレベル調整を要する。牧野フライス製作所の新型の大型MCは、時に週単位を要したこのレベル調整を、“調整要らず”と言えるほどに容易にした。
同MC開発責任者の角田直哉開発本部マネージャは「当社工場で作り込んだ精度を、直ちにお客さまの工場で出しやすくした」と導入後の速やかな立ち上げ、保守費用の軽減をかなえる利点を強調する。決め手は「3点支持方式」だ。機械の土台である鋳物でできたベッドが床面と3点で接する。カメラの三脚のように安定感が高く、調整の手間を省けるのだ。大型機は4点以上で支える「多点支持方式」が通常で、支持点が多い分、調整が複雑になる。
ところが、大型機には向かない方式だとも言える支持点の少なさのため、ベッドの剛性を保ちにくい。剛性を高めるには鋳物量を増やさなければならず、コストの増加、輸送性の悪化などの不利益を招いてしまう。特に、牧野フライスの開発計画はX軸のストロークが1900ミリメートルという巨大な機械。3点支持構造で世界最大級のMCとなるべきものだ。
そこで剛性を損なわず、重量を減らすというテーマに取り組み、従来のMCより「ベッドの厚さを100ミリメートル薄くすることに成功した」(越智謙吾開発本部)。ベッドの鋳物重量は70%増。設置や保守費用を低減する効果で、コスト増加分を相殺できるレベルに抑えた。機械本来の性能は送り速度が毎分54メートルと小型機並みの俊敏性を備える。高剛性のため、ストロークエンド付近でもびびらずに重切削できるのも特長だ。実は、開発スタート時、「世界最大の3点支持で行こう」という、牧野二郎前社長の号令があった。ことし惜しまれつつ退任したカリスマの思いを見事にカタチにした。
(六笠友和)
(2016/8/31 05:00)
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