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[ エレクトロニクス ]
(2016/9/7 05:00)
電機大手7社は家電や電子機器の電気コードに使われる化学物質「フタル酸エステル」(用語参照)4物質の使用を停止する。欧州連合(EU)で2019年7月から電子機器への使用が大幅に制限されるのに先駆け、東芝は17年1月にフタル酸エステルを含む製品の調達を止める。パナソニックは18年7月、富士通も19年1月から調達を停止する。電気コードは電源や内部配線に大量に使われており、電機メーカーは対応を迫られている。
各社とも取引先に対して、フタル酸エステルの代替材料の採用を求める。東芝はパソコン、オフィス複合機、販売時点情報管理(POS)システム、テレビの一部製品で代替材料の採用を始めた。19年7月までに対象製品の代替完了を目指す。
パナソニックはすでに一部の製品で代替材料を採用している。その他の製品でも代替材料の品質評価を始めた。富士通は6月末から購入品への含有状況を確認するため、取引先への調査を始めた。
ソニーは18年4月から取引先からの納入を止める。NECは6月に調達基準を改訂し、原則として18年7月からの納入停止を取引先に伝えた。日立製作所は19年1月にグリーン調達基準を見直し、グループ各社が取引先に使用停止を求める。代替材料の採用時期はグループ各社に委ねる。三菱電機は18年末までに購入品の代替を完了させる計画だ。
EUは欧州特定有害物質規制(RoHS)で電子機器への使用制限物質にフタル酸エステル4物質を追加する。電気コードは4次、5次サプライヤーが生産や調達を担い、代替材料への切り替えに時間がかかる。フタル酸エステルは樹脂に混ざると判別が難しく、鉛よりも対応が難しい。
【用語】フタル酸エステル=樹脂を柔軟にする可塑剤。内分泌かく乱物質として疑われており、欧州では玩具への含有が禁止された。すでにトリメリット酸系(TOTM)やアジピン酸系(DINA)などの代替素材があるが、電気コードは曲げ伸ばしを繰り返すため耐久性など品質確認に時間がかかる。
(2016/9/7 05:00)