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(2016/10/5 05:00)
2016年のノーベル生理学医学賞の受賞が決まった東京工業大学の大隅良典栄誉教授は4日、日刊工業新聞の単独インタビューに応じ、日本の科学技術力の底上げに向け「社会全体で基礎研究を支える仕組みが必要だ」と語った。産業界に対しては「各企業がいろいろな社会貢献活動をしているが、その中の一つに基礎科学や若手研究者を支えるといった動きを加えていただきたい」と要望した。
大隅栄誉教授は、細胞のオートファジー(自食作用)という基礎研究分野での受賞について「基礎研究だけで良いわけではないが、基礎研究がないと新しい進歩はない」と重要性を説明。国の研究開発の方向性が実用化を想定した出口戦略重視へと移りつつある中で「応用研究と同じ価値判断で評価されると、基礎研究は非常につまらないものになってしまう。基礎研究は先が分からないから面白い」と強調した。
こうした基礎研究を支える資金について、大隅栄誉教授は「我々の時代は、基礎科学の研究はすべて国が支えてくれるものと信じてきたが、それがだんだん厳しくなってきた」と指摘。「すべてを文部科学省に頼るのではなく、基礎研究を支える新たなシステムが必要だ」と述べた。
さらに「年間100万円のお金があれば、やりたいことをやれる研究者が日本にはたくさんいる。言葉は悪いが、もう少し研究費をばらまいてほしい」と国に要望。「小さな芽をたくさん育てなければ、大きなとんがった成果は生まれない。日本の国力なら十分できるはずだ」と語った。
(2016/10/5 05:00)
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