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博多陥没事故/全国で可能性、防災対策急務

(2016/11/11 05:00)

  • 重機などを使い復旧作業が続くJR博多駅近くの陥没した道路

福岡市博多区で8日発生した大規模な道路陥没事故から3日がたつ。事故は博多駅から西に約300メートルの博多駅前通りの交差点付近で発生。迅速な対応により死者は出なかったものの、同様の事故は全国で起こる可能性がある。今後の調査で得られる事故の知見を生かし、防災対策へ生かす取り組みが求められる。(福沢尚季)

【地質特性 適切な判断必要】

陥没事故の原因とされる市営地下鉄七隈線の延伸工事は一般的に山岳部のトンネル工事などに用いられる「NATM(ナトム)工法」で、トンネルの天井の深さ約18―20メートルの部分を掘削していた。同工法は主に都市部のトンネル施工などで用いる「シールド工法」に比べてコストが安い。今回の事故はナトム工法の工区が終わり、シールド工法の工区に変わる付近で発生した。

早稲田大学理工学術院の小泉淳教授は、工事を進める中で水を含む層「帯水砂層」が想定よりも地下にあり、その部分を掘削してしまった可能性を指摘。小泉教授は「地盤調査がしっかりできていれば起こらなかったのでは。過去にも陥没事故が起きている場所なので、もっとコストをかけても良かったかもしれない」と話す。

地盤の悪さを事前に把握していれば、薬液の注入などで地盤を固める「地盤改良」が施せたという考えだ。今後の調査について「陥没した場所か埋め立てた部分をボーリング調査し、地質構造を見るべきだ」(小泉教授)としている。

産業技術総合研究所地質調査総合センター研究戦略部研究企画室国内連携グループの川邉禎久企画主幹は「福岡県に限らず、平野部の地下地質は細かい地層境界の凹凸も多く、必ずしも同じ地層が水平に続くとは限らない」と説明。「平野部の地下地質の特性をよく知り、適切に判断できる人材の育成と配置が必要だ」とする。

地盤解析や、スマートフォンの位置情報を基に現在地の地盤の強度などを計測するアプリケーション(応用ソフト)の配信などを手がける地盤ネット(東京都中央区)の山本強社長は「一般的に、駅前は高台などに比べ地盤が強くない」と、全国で同様の事故が起こる可能性を懸念する。

【施工分析後、対応策を検討−国交省】

国土交通省は10日、福岡市博多区の大規模道路陥没事故に関して8日夜、9日に福岡市交通局に行った立ち入り検査を踏まえ、地下鉄工事の施工体制や工法などを分析し、今後の対応を決めることを明らかにした。事故の規模の大きさや2年前にも道路陥没事故が発生したことに鑑み、慎重に検討する意向だ。

(2016/11/11 05:00)

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