[ ロボット ]
(2016/11/30 05:00)
八戸工業大学の藤澤隆介講師らは、壁面を高速に動ける点検ロボット「アラネウスII」を開発した。ワイヤでロボットをつり下げ、ワイヤを巻き取って機体を移動させる。壁面に磁力や吸引力で張り付くロボットに比べて4倍以上の速さで動けるという。橋やビルなどの壁面点検に提案。1―2年内の実用化を目指す。
電気通信大学と名古屋工業大学、神奈川大学、信州大学、長大(東京都中央区)、TTES(東京都目黒区)と共同で開発した。橋の上などにウインチを2台設置してロボットをぶら下げる。ワイヤを巻き取ると、機体が壁面を上下左右に移動できる。
移動速度は毎秒21センチメートル。搭載カメラと壁面の距離は約70センチメートルで、一度に70センチメートル×70センチメートル程度の写真が撮れる。幅0・03ミリメートルのクラックを判別できることを確認した。張り付き型はカメラと壁の距離を空けると、機体が壁から剥がれる方向に力がかかるため画角をとりにくかった。
アラネウスIIではウインチ同士が通信し、張力やワイヤ長を協調制御する。ワイヤの送り出し角度から機体の位置を特定しクラックの位置を記録できるなど、調書を管理しやすい。ウインチを4台用意すれば橋の下などを3次元的に移動できる。
機体の重量は15キログラムで、ワイヤ1本の耐荷重は100キログラム。ワイヤが1本切れても墜落しない。20キログラム以上の積載能力が残っているため、今後打音検査機能や塩害洗浄機能を追加していく。
(2016/11/30 05:00)