[ ロボット ]
(2016/12/23 05:00)
■独自シナリオによるカスタマイズ化で他社と差別化できる対話型ロボット■NTTドコモ/エスビー食品(上)
NTTドコモの会話基盤技術をタカラトミーのコミュニケーションロボット「OHaNAS(オハナス)」に搭載した、企業向け会話型のロボットサービス「おしゃべりロボットfor Biz」が提供された。企業のオリジナルシナリオを実装することで他社との差別化が図れ、大手食品メーカーのエスビー食品も全国のスーパー、ショッピングモールでOHaNASによる販促を展開している。
NTTドコモが提供する「おしゃべりロボットfor Biz」は、同社が開発した「自然対話プラットフォーム」をロボットや玩具に搭載し、同プラットフォームに導入企業独自のシナリオを追加することでカスタマイズ可能な対話を提供するサービスだ。
2015 年10月、同プラットフォームを搭載したクラウド型コミュニケーションロボット「OHaNAS(オハナス)」をタカラトミーと共同開発し、2016年5月におしゃべりロボットfor Bizのサービスを開始した。
8つの機能のAIで流暢に会話する
「『おしゃべりロボットfor Biz』は、自然対話プラットフォームと当社の提供する音声認識・音声合成エンジンを、ロボットや玩具などのユーザーインターフェイスに実装し、さらに導入企業独自のシナリオを搭載することで他社との差異化を図れる、法人向けにASP で提供する会話型のサービスです」(第一法人営業部法人サービス第四担当清水健二郎担当部長)
そのユーザーインターフェイスをOHaNASとしたおしゃべりロボットforBizは、導入企業が、自社製品の説明やそれに関連する話題をあらかじめシナリオとして作成して自然対話プラットフォームに追加しておけば、ロボットが来客に製品やキャンペーンの紹介をするなど利用目的に応じて活用できる。
OHaNASによる対話サービスでは、スマートフォンやタブレットを介してOHaNASと自然対話プラットフォームとを接続し、ユーザー(来店客など)との対話を通して商品やサービスの情報を提供する。その中核となるのが、対話型サービスを容易に作れるプラットフォーム(アプリケーションを動作させるための基盤ソフトウェア)の「自然対話プラットフォーム」だ。
同プラットフォームは、NTTドコモの「しゃべってコンシェル」(音声エージェントサービス)に搭載した自然言語処理技術およびその関連技術に新しい機能を付加して以下のような概要で開発された。
流暢な会話を実現するために開発された4 機能
まず、しゃべってコンシェルに関連する技術として、(1)ユーザーの発話の意図を理解する「意図解釈」、(2)ユーザーとの間でストーリー性のある(一連の流れを持つ)対話を実現する「シナリオ対話」、(3)あらゆる話題の雑談に応答する(想定外の問いかけにも自然に応答する機能)「雑談対話」、(4)あらゆる質問に的確に答える「知識Q&A」の4つの機能を搭載した。
さらに、新たに開発した(1)文章正規化、(2)外部コンテンツ連携、(3)キャラクター風発話変換、(4)ユーザー情報自動抽出の4つの機能を搭載した。
(1)文章正規化とは、さまざまな表現でも同じ意味ならば1つの文章に集約する機能だ。例えば、「アイスが好きか?」「アイスは好きか?」「アイス好き?」と同じ意味でありながら多様な表現を「アイスは好きですか」と1つの文章に集約させ、それにより、開発者がさまざまな言い回しに対して大量のシナリオを書くことを不要にできる。
(2)外部コンテンツ連携とは、天気、ニュース、占い、テレビ番組情報など外部の複数のコンテンツを呼び出し、対話させる機能だ。
(3)キャラクター風発話変換とは、特定のキャラの口調を設定することですべての発話を自動的にその口調に変換できる機能だ。たとえば、ねこのような口調を設定すれば「今日は暖かいので、お出かけ薄着で大丈夫です」を「きょうはあたたかいにょで、おでかけはうすぎでだいじょうぶニャ」と自動変換する。
(4)ユーザー情報自動抽出とは、ユーザーの発話から趣味などの個別情報を自動で抽出する機能だ。この機能により、従来のようにユーザー情報を抽出する処理をシナリオに逐次記述する必要がなくなる。
(2016/12/23 05:00)