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[ 科学技術・大学 ]
(2017/1/1 05:00)
明治大学農学部の小山内崇専任講師らは、微細藻類「ユーグレナ(和名・ミドリムシ)」の光合成を利用し、バイオプラスチックの原料となる「バイオコハク酸」を生産する技術を開発した。現在、コハク酸は石油から合成されている。光合成生物からバイオコハク酸を作ることで、二酸化炭素(CO2)の削減や石油消費量の抑制に寄与できる。
研究チームはユーグレナを明るい条件で培養した後、暗くて酸素濃度の低い暗・嫌気条件に移すと、コハク酸を細胞外に放出することを見つけた。11日間窒素欠乏状態にしたユーグレナを暗・嫌気条件に移し、3日後のコハク酸生産量を調べたところ、培養液1リットル当たり869・6ミリグラムと最高を記録。通常の窒素条件での培養時と比べて約70倍に増えた。
現在、バイオコハク酸は酵母などに糖を与え、発酵させることで生産している。ただ、糖は食料との競合や価格上昇の課題がある。研究チームはユーグレナの培養に糖を使わずにバイオコハク酸生産の最高量を達成した。
現時点で工業生産レベルの1リットル当たり数十グラムには達していない。小山内専任講師は「今後も生産量を増やす研究を進めるが、仮に数十グラムというレベルに届かなくても、余ったユーグレナを食品に利用するなど別の手段と組み合わせることで工業化は可能とみている」と説明する。
理化学研究所、神戸大学、ユーグレナなどとの共同研究。成果はスイスの科学誌フロンティアズ・イン・マイクロバイオロジーに掲載された。
(2017/1/1 05:00)