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[ 科学技術・大学 ]
(2017/1/4 05:00)
慶応義塾大学医学部の坪田一男教授らは、可視光線の中でも波長が360ナノ―400ナノメートル(ナノは10億分の1)と短い「バイオレット光」が近視の進行を抑えることを突き止めた。この光の透過率が高いコンタクトレンズを着用している人は、透過率の低いレンズを着用している人よりも、近視が進む原因となる眼球の奥行きが伸びる症状を抑えられることが分かった。
バイオレット光は屋外に多い一方、発光ダイオード(LED)照明や蛍光灯にはほとんど含まれないことが判明。眼鏡やガラスがこの光をほとんど通さないことも分かった。近視が進む仕組みの解明や、治療法の開発につながる可能性がある。成果は国際科学誌イー・バイオ・メディシン電子版に掲載された。
研究チームはまずヒヨコで、バイオレット光を浴びると近視の進行を抑えられることを確認。その上で13―18歳の年齢層を対象に、コンタクトレンズのバイオレット光の透過率と近視進行度を比べる臨床研究を行った。
一般に近視は、眼球の角膜と網膜の距離「眼軸長」が長くなることで、網膜より手前で焦点が合い、遠くが見えにくくなる。臨床研究で眼軸長の伸びを調べた結果、透過率80%以上のレンズを使った群(116例)は平均で年0・14ミリメートル。透過率80%未満のレンズを使った群(31例)の同0・19ミリメートルと比べて伸びが少なかった。
(2017/1/4 05:00)