[ 政治・経済 ]
(2017/1/20 05:00)
トランプ氏が20日(日本時間21日未明)、米国大統領に就任する。新政権の経済政策を担う陣営の顔ぶれを見ると経済界出身者が多く、政治的手腕は未知数。中国や日本に対しては損得勘定に基づいた“ディール(取引)外交”で揺さぶりをかけそうだ。(大城麻木乃)
【優れた経済人】
「閣僚同士の力関係がどうなるのか、まったくわからない」。ある外交筋はトランプ政権の人事を見てこうつぶやく。財務長官はゴールドマン・サックス出身のムニューチン氏、国家経済会議(NEC)委員長も同じくゴールドマン出身のコーン氏、商務長官は著名投資家のロス氏―。優れた経済人ではあるものの政治に関する経験は乏しく、過去の行動を基に先を読むことは難しい。視界不良ながら、政権としては国内では減税、インフラ投資、金融分野などの規制緩和により景気を拡大。対外政策では中国や日本、メキシコなどとの貿易赤字の解消に挑む方針だ。日本企業にとっては米国内政策では追い風、対外政策では逆風が吹くことが予想される。
【目玉は1兆ドル】
米国内政策の目玉としては、今後10年間で1兆ドル(約115兆円)という、日本の国内総生産の5分の1に相当する巨額をインフラ投資に充てる方向だ。財政規律に厳しい議会・共和党がすんなり受け入れるかは不明だが、仮に実現できればインパクトは絶大。インフラ輸出が得意な総合商社は早くも色めきだっており、インフラに関わる部品・部材を提供する日本企業にも恩恵が期待できそうだ。
【貿易赤字の解消】
半面、心配なのは対外政策。日本も貿易赤字を解消したい国の候補に名を連ねる。2015年に米国の貿易赤字額7456億ドル(約85兆円)のうち、49%が中国、9%が日本となり、日中で6割を占めた。貿易赤字の解消に向かう過程で、日中ともに“通貨安”を非難される可能性もある。
もっとも、トランプ新大統領の発言には矛盾が多い。これまで中国の元安誘導を問題視してきたが、17日の米紙インタビューでは自身がドル安誘導の禁じ手を使うことを示唆した。経済ブレーンが大統領の“暴走”を止め、経済合理性に基づいた判断を下せるかどうかが試されることになる。
(2017/1/20 05:00)
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