[ 政治・経済 ]
(2017/2/1 18:30)
安倍晋三首相は1日、米国の雇用や対米投資拡大のための日本の貢献策を10日の日米首脳会談で、トランプ大統領に提示する考えを明らかにした。自動車貿易など通商分野の対立に過度に焦点が当たるのを避け、「ウィン・ウィン」(首相)の関係に理解を促す狙いからだ。
「いかに米国に雇用を生み出し、米国産業界の競争力強化に貢献していくか、インフラ整備にどう協力できるかを含め、大きな枠組みの中でしっかり話をしたい」。首相は1日の衆院予算委員会でトランプ氏との会談へ向けた抱負を述べる際、「貢献」の2文字に力を込めた。
政府が貢献策として検討しているのが、米テキサス州などで構想されている高速鉄道計画への官民投資や米国産シェールガス由来の液化天然ガス(LNG)の輸入拡大など。政策パッケージとして提案する方向だ。
米国の雇用拡大や対米貿易黒字の削減が見込める上、トランプ氏が掲げる大規模インフラ整備とも合致する。政府高官は「チャンスだ。乗らない手はない」と、日本が得意とする高品質なインフラ整備を首脳会談で切るカードにする考えだ。
一方、首脳会談へ向け新たな懸案も出てきた。トランプ氏が日本の為替政策を中国と同列にして批判したことだ。首相は1日の予算委で「円安誘導との批判は当たらない」と反論したものの、「日米間でよく意思疎通を図っていく」とも語るなど、話し合いを通じて米側の理解を得るしかないのが現状だ。
トランプ氏は先月28日の首相との電話会談で日本の自動車業界のメキシコ工場建設計画に懸念を表明した。政府関係者は「謙虚さを前面に出していた昨年11月の初会談とは印象が違った」と変貌ぶりに驚きを見せる。首相は会談で自動車貿易や為替をめぐるトランプ氏の「誤解」を解き、信頼関係を構築したい考えだが、トランプ氏の出方次第では、逆に日米の摩擦が際立つ可能性もある。(時事)
(2017/2/1 18:30)