産業春秋／国民民主党がカギを握る

国民民主党がカギを握る―。自民、立憲民主の両党は、首相指名選挙での多数派形成に向け、国民民主に秋波を送る。国民民主は衆院選で議席を４倍の２８に伸ばし、存在感が高まっている。

首相指名選挙は、国民民主が玉木雄一郎代表に投票する方針で、自民、立憲民主両党とも過半数を獲得できず、決選投票となる可能性がある。決選は過半数に達しなくても、投票の多い者が首相に指名される。国民民主の決選での投票行動が焦点になりそうだ。

国民民主は２０２２年度当初予算案や２３年度補正予算案の採決で賛成に回った経緯がある。野党が予算案に賛成するのは異例であり、自民党は今回も同党の協力に期待する。

国民民主と立憲民主はともに連合が支持団体だ。連合は両党の連携に期待する。だが国民民主は慎重姿勢を崩さない。安全保障や原発、憲法などで立憲民主と見解が異なるためだ。

トリガー条項の凍結解除。国民民主の衆院選の公約で、過去の予算案で賛成に回ったのも、与党が解除の検討に言及したためだ。ただガソリン減税となる同条項は地方税収を減らし、石破茂首相の地方創生に逆行する。自公が国民民主の政策をどこまで受け入れるのか、注視したい。