[ 機械 ]
(2017/2/7 13:30)
独シーメンスが金属積層造形(AM)技術の導入を積極化している。6日には、AMを使って従来の設計に基づくガスタービンブレードを作製し、それを取り付けた発電機の全負荷運転試験を実施、所定の性能を発揮することを確認したと発表した。それに加え、金属積層により内部に冷却構造を持たせた全く新しい設計のタービンブレードの試験も行った。同社ガス&パワー部門のウィリー・マイズナーCEOはプレスリリースで、「発電分野へのAMの適用は難しいと見られていたが、今回の成果は同分野でのブレークスルーになる。AMの活用により、プロトタイプ開発のリードタイムを90%削減できる」と述べ、その有効性を強調している。
今回のタービンブレードは、2016年8月にシーメンスが85%の株式を取得して子会社化した英マテリアルズソリューションズ(ウスター)の設備で製作。英リンカーンにあるシーメンスの産業用ガスタービン工場で試験を実施した。マテリアルズ社は、ターボ機器など耐熱性の高い超合金にAM技術を応用し、表面処理も含め高精度に仕上げる技術を持つという。
AM技術としては、材料粉末を敷き詰めたパウダーベッドにレーザーを照射し、任意の部分を溶融して金属を積層させるSLM(セレクティブ・レーザー・メルティング)方式を採用し、多結晶のニッケル超合金を原料にブレードを作製した。それらを13メガワットの発電能力を持つ「SGT-400」産業用ガスタービン発電機に取り付け、毎分1万3000回転、1250度C以上の温度条件で試験を実施した。
シーメンスにとって「AMはデジタル化戦略の大きな柱の一つ」(マイズナー氏)という。16年2月にはスウェーデン・フィンスポングに金属AM技術を使ってガスタービンエンジン向けのバーナー部品などを製造する専門工場を開設し、同7月に稼働に入っている。
(2017/2/7 13:30)