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[ 科学技術・大学 ]
(2017/2/15 05:00)
理化学研究所バイオリソースセンターの小倉淳郎室長らは、全遺伝情報(ゲノム)を自在に書き換える「ゲノム編集」の技術で、生物実験に使う野生由来のマウスをおとなしくすることに成功した。野生マウスは、標準的な実験用マウスと比べて遺伝的な背景が多様であるため、研究利用が進む。
ただ、野生由来のため俊敏で警戒心が強く、取り扱いが難しい欠点があった。穏やかな性質にした野生マウスを他の機関に提供していく。
宮崎大学、帯広畜産大学、名古屋大学との共同研究。成果は14日、英電子版科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
静岡県三島市で捕獲した野生マウスに由来する「MSM/Ms系統」(MSM系統)という種類のマウスを、ゲノム編集の対象とした。生物が新しい環境に慣れる「順化」との関連が指摘されている「アグーチたんぱく質」の遺伝子を目標に、ゲノム編集によってこの遺伝子が働かないMSMマウスを作った。
遺伝子改変後のMSMマウスは、毛の色が元の茶色から黒色に変わった。おとなしさを調べるために人の手に乗っている時間を比べたところ、遺伝子改変前のMSMマウスは平均2・8秒、改変後のマウスは同9・4秒と大幅に伸びた。
MSMマウスは欧米由来の実験用マウスと比べ、がんや肥満になりにくい特性を持つ。理研の小倉室長は「長期間の観察が必要な老化現象などの研究に役立つ」と説明する。
(2017/2/15 05:00)
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