[ オピニオン ]
(2017/2/15 05:00)
“全国一の激戦区”だけに、無理のない競争が望ましい。
昨年の電力に続き、今年4月には都市ガスの小売りが全面自由化される。とりわけ関西では、ともに強固な基盤を持つ関西電力と大阪ガスがエネルギーの覇権を争って激しい競争を繰り広げている。
関電は、液化石油ガス(LPG)大手の岩谷産業と組んで「関電ガスサポート」を設立し、家庭向けガス販売に臨む。2016年末に大ガスの従来料金に比べて約8%安くなる料金プランを発表した。
年明けに大ガスが従来料金より約7・5%安い自由化メニューを打ち出すと、関電はすぐに同13%安くする改定料金プランを追加発表した。早くも値下げ合戦に突入しているわけだ。
関電と大ガスは、自由化以前から激しい顧客争奪を繰り広げてきた。地元産業界では「大阪戦争」「仁義なき戦い」とも呼ばれる。電力とガスは全国どの都市部でもライバルだが、特に関西は大口顧客や営業エリアの重なりが大きい。また企業規模も、他地域の電力とガス会社に比べれば接近している。このため競争は熾烈(しれつ)になりがちだ。
昨年4月の電力小売り全面自由化以降、大ガスは25万件を超す契約を獲得している。それだけに関電には、ガス小売りで逆襲したいという思いが強い。もともと火力発電燃料である液化天然ガス(LNG)の調達量は大ガスを上回るため、価格競争力もある。
一方の大ガスも電気とガスのセット売りを強めるとともに、顧客との接点をさらに強くするため、契約者に対する「駆け付けサービス」の拡充を打ち出して対抗する。
需要家の立場からすれば、競争による価格の低下やサービス向上はありがたい。しかし行き過ぎた価格競争で両社が企業体力を消耗して、万一でも産業用の電力・ガス供給に支障を生じるようでは困る。
大口需要家も決して無理な競争を望まない。あくまで合理的な価格決定とサービスで、自由化のメリットを感じられるようにしてほしい。
(2017/2/15 05:00)
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