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[ 科学技術・大学 ]
(2017/3/15 05:00)
【仙台】東北大学多元物質科学研究所の笠井均教授らは、一般的な緑内障の治療薬「エイゾプト」(一般名ブリンゾラミド)をナノ粒子化(ナノは10億分の1)することで、眼内移行性を約5倍高めた粒子点眼薬を開発した。ラットを使った実験で高い薬理効果を確認した。ナノ粒子化によって薬液の透明度も向上したため、点眼時の課題だった目のかすみも減ると期待される。
一般的な点眼薬は角膜のバリア機能によって点眼した薬の0・1%程度しか眼内移行しないという。眼科製剤のほか、抗がん剤などへの応用も考えている。研究成果は英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に掲載された。
笠井教授らは、エイゾプトを水に溶けにくくし、独自のナノ粒子化技術「再沈法」を施した。これにより治療薬が角膜を通過しやすくなり、毛様体など眼の奥の器官にも成分が届きやすくなった。
緑内障の治療薬は、眼圧を下げるため用いられるが、ナノ粒子化により5分の1程度の成分量で同様の眼圧下降作用をラットで確認した。薬液の光透過性は100倍程度になり、使用感が改善する。
(2017/3/15 05:00)
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