- トップ
- 科学技術・大学ニュース
- 記事詳細
[ 科学技術・大学 ]
(2017/3/21 05:00)
お茶の水女子大学の的場やすし学部教育研究協力員とものつくり大学の菅谷諭教授らは、砂を液体のように変えてカヌーなどを体験できるVR(仮想現実感)システムを開発した。ぬれずに川下りや砂中を泳ぐなどの感覚を楽しめる。水を使わないため設備はさびず、衛生管理も簡単。アミューズメント施設向けの水上VR装置などに提案していく。
砂の下から大量の空気を送り込んで液化したように振る舞わせる「流動床」という現象を利用する。砂にかかる重力と、空気が砂を巻き上げる力がつり合うと砂全体が液体のように流動化する。実験では1・7メートル×1・1メートルの大型水槽に空気供給パイプを巡らせ、1トンの砂を入れて人体が浮く流動床システムを作製した。
コンプレッサーから供給する空気量で砂の粒子同士の摩擦を調整し、流動体の粘度や抵抗を調整できる。実際に砂中を歩くと、沼や池などの状態を再現できた。空気の供給を止めれば、ただの砂に戻るため上を歩ける。
流動床とヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)を組み合わせてカヌーのVRシステムを作製した。パドルで水をかいて、水上を進むような体験ができる。サーフィンのように水上で立ってバランスを取ることも可能だ。
流動化の切り替えが簡単で砂中に沈んでいるモノが突然、浮かび上がる演出もできる。砂は光を透過しないためプロジェクションマッピングとの相性が高い。水に比べ腐食などの心配がなく保守管理は簡便になる。特許は出願中で1年内の技術移転を目指す。
(2017/3/21 05:00)