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[ 科学技術・大学 ]
(2017/3/24 05:00)
帝京大学理工学部は超小型人工衛星「TeikyoSat―4」の開発を進めている。河村政昭講師が率いる学生クラブ「宇宙システム研究会」が、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)部品を手がけるテツカクリエート(栃木県上三川町)など15社・団体と連携し、2018年度中の打ち上げを目指す。
衛星は約45センチ×45センチ×45センチメートルで、国産主力ロケット「H2A」に相乗り搭載できるサイズで最大となる。内部が広く、複数の実験が可能だ。微小重力や高エネルギー放射線のある宇宙環境で、細胞性粘菌の一種「キイロタマホコリカビ」を生育する。河村講師は「菌の第2、第3世代への影響も調査したい」と話し、長期運用に狙いを定める。
周波数1・2ギガヘルツと5・8ギガヘルツ帯のアマチュア無線高速通信帯の実証実験もする。従来の毎秒1200ビットや9600ビットの通信帯ではデータの受信に1週間程度かかるが、高速通信帯なら1分程度で受信できる。アンテナを常に受信局に向けるため、電磁石と地球磁場で姿勢制御する装置「磁気トルカ」を搭載する。地上にも、5・8ギガヘルツに適応するアンテナを追加整備する。
将来は気液分離現象の観察を視野に入れるなど、「米国や日本などが運用する国際宇宙ステーション(ISS)と同様の実験を無人かつ低コストでできる『ミニISS』の実現を目指す」と河村講師は語る。
ISSの運用高度(地上約400キロメートル)より高い高度600キロメートル程度での実験が成功すれば宇宙研究に挑む層の裾野拡大につながると期待される。
(栃木・前田健斗)
(金曜日に掲載)
(2017/3/24 05:00)