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次世代ビジネス・防災/西武HD−ドローンで災害復旧

(2017/4/3 05:00)

  • 西武建設が開発するドローン

  • ドローンで撮影した土砂崩れの現場

現場撮影・補修まで一括

西武ホールディングス(HD)はグループの西武建設を通じ、ドローンを活用し、インフラ構造物の維持管理や防災に役立てる取り組みを加速している。2016年8月に西武鉄道多摩湖線で発生した土砂崩れでは、西武建設が開発を進めるドローン技術を活用し、事故現場の状況を把握。今後、構造物に補修剤を吹き付ける技術に応用展開する。インフラ構造物の老朽化が社会問題となり、人が入れない場所での補修作業の需要を見込み、数年以内に外販を目指す。

【救援作業も視野】

台風9号の影響により、西武多摩湖線で発生した土砂崩れでは、斜面が崩落し電車が脱線。事故現場は斜面を縫って線路が通り、二次災害の危険もあり、人が入れない状況だった。そこで、ドローンを飛ばし、上空から現場状況を把握し、最適な施工方法や必要な機材の種類や台数、復旧日数を予測。ひび割れがないかを注意深く確認し、作業の安全も確保しながら、復旧を進めた。

当初、西武多摩湖線の運休は1―2カ月に及ぶという見方もあったが、15日間で運転を再開した。西武建設は災害復旧での今後の可能性として、ドローンに人を感知することで色が変わる赤外線カメラを搭載し、遭難者の救援作業に活用することも視野に入れる。

現在、ドローン活用は撮影や点検、測量などが中心だが、西武建設は、施工作業ができるよう技術開発を進めている。

【技術開発にめど】

芝浦工業大学、エンルート(埼玉県ふじみ野市)と共同で、建物などの構造物に塗料やコンクリートの強化材などを吹き付けるドローンを開発。まだ実用化には至っていないものの、技術開発はほぼ終えており、自律航行技術を投入した新機材を導入する計画だ。

開発中のドローンは、エンルート機材を活用し、材料を充填したタンクと吹き付けるノズルを装備し、遠隔操作で吹き付けることができる。現状の技術開発では、1平方メートルを約18秒で吹き付けられる。ただ、手で塗るよりも材料を3―5倍使うなど、非効率な面もある。また、現在は塗料を吹き付けることはできるが、今後は用途の拡大を念頭にさまざまな粘度の材料にも対応できるようにしたい考え。性能の向上や用途拡大に向け、ノズルの改良を技術開発のポイントとして進める。

【外販を目標に】

また現状、位置と目的地の座標を全地球測位システム(GPS)で測定し、コントロールしているが、施工現場はトンネルの内部など、屋内でGPSが使えない場所も多い。このため、ドローンが自らの位置と対象物との距離を測り、効率よく吹き付けられるように改良する。さらに、現在はバッテリーが地上にあり、機体とケーブルでつながっているが、バッテリーを機材に搭載することで、ドローンの可動域を広げる。

西武建設は、開発中のドローンを自社の請け負い工事に使うだけでなく、外販を目指す。ドローンそのものを販売するのではなく、ドローンを基に、画像診断や検査、補修計画から施工までのサービス展開を目指す。(高屋優理)

(2017/4/3 05:00)

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