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[ 建設・住宅・生活 ]
(2017/4/4 05:00)
茨城県笠間市にある「生長の家茨城県教化部新会館」は、建物のエネルギー消費量が収支ゼロになる「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」を達成している。ZEBの建物では国内で初めて、第三者認証を取得した。設計・施工は清水建設が担当。特徴は既に確立された省エネ・創エネの汎用技術を活用した点だ。コストを抑制でき、ZEBに取り組みやすい。清水建設は今後、汎用技術によるZEBを提案し、受注拡大を目指す。(編集委員・村山茂樹)
生長の家茨城県教化部新会館は、宗教法人生長の家の支部施設として、2016年2月に完成した。地上1階の木造の建物。延べ床面積は678平方メートル。120人が入る大道場と小道場、食堂や事務室、エントランスホールなどで構成される。 建物の省エネ性能を第三者認証により評価するシステム「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」に基づき、ZEBとしての第三者評価を東京建築検査機構(東京都中央区)から取得した。省エネの実施により、基準ビルから1次消費エネルギーを60%削減。さらに太陽光発電による創エネにより、トータルの削減率が108%と発電量が消費量を上回る。
省エネのため自然光や通風、太陽熱や地中熱などをフルに活用。季節に応じて、暖気と冷気を床に通す循環システムを採用した。冬季には、まきストーブを活用する。清水建設の青木裕一集合住宅・社寺設計部上席設計長は「既存の技術を使っており目新しいものはない」と説明する。
創エネは、建物の屋根に太陽光発電パネルを設置。電気自動車(EV)に発電した電気を蓄えたり、EVから夜間や停電時に電気を建物に供給できるようにしたりした。
生長の家はこれまでに「森の中のオフィス」(山梨県北杜市)をZEBとして建設。清水建設に設計・施工を委託した。新会館の建設は森の中のオフィスを継承し、進化する目標を掲げた。具体的には、他の施設の創エネを利用せず建物単体でZEBを達成したほか、EVや地中熱を利用するなどの新しい取り組みを行った。
生長の家茨城県教化部阿藤和彦事務局長は、ZEB化した新会館について「常にエコ意識を持っていられる」と語る。化石燃料を使わずに、自然エネルギーを使うことを徹底している。エネルギーの使用量は「想定の半分以内に収まっている」(青木上席設計長)という。
清水建設は新会館で得たノウハウを今後に生かす。ZEBがもっと手軽に実現できると提案していく考えだ。
(2017/4/4 05:00)