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[ エレクトロニクス ]
(2017/4/6 05:00)
半導体エネルギー研究所(神奈川県厚木市、山崎舜平社長、046・248・1131)は5日、三つ折りにできるタッチパネル式の有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレーを開発したと発表した。ガラス基板上に作製したパネル層をはがして、樹脂などのフレキシブル基板に載せ替える独自技術を活用した。スマートフォンなどでフレキシブル化のニーズは高まっている。今後、実用化に向けてスマホメーカーなどへの提案を進める。
通常、ガラス基板上に作製した有機EL層や駆動回路層をはがす際は不具合が出やすい。同社は剥離層と有機EL層の間に別の層を挟むなどして、剥離技術を向上した。
パネルの曲がり度合いを示す曲率半径は5ミリメートルで、10万回繰り返して曲げられる。画面サイズは三つ折りにした場合が5インチで、全て広げると8・7インチになる。曲げた状態でも広げた状態でもタッチパネルを操作できる。
積層した有機EL材料にカラーフィルターを重ねて映像を映し出す「白色OLED方式」を採用した。1インチ当たりの画素数を示すppiは254で、フルハイビジョン映像を映せる。会見した山崎社長は「独自技術を組み合わせることで実現できた」と説明した。
【世界最小の8.3インチ8K有機ELパネル開発】
半導体エネルギー研究所は5日、高解像度の「8K」技術を採用し、世界最小となる8・3インチの有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレーを開発したと発表した。独自のディスプレー駆動回路を採用し、1インチ当たりの画素数を示すppiを、従来の664から1058に引き上げた。高精細さが求められる拡張現実(AR)や仮想現実感(VR)などの技術への応用を視野に入れ、実用化に向けて提案する。
8Kディスプレーは、フルハイビジョンの16倍の解像度を持つ映像を映し出せる。8・3インチの8Kディスプレーを実現したのは初めてという。
独自の酸化物半導体を駆動回路に使うことでトランジスタを小型化でき、画素を小さくした。有機EL材料を基板上に積層し、カラーフィルターを使って映像を映し出す「白色OLED方式」を組み合わせることで、高精細化を実現した。
通常、有機ELディスプレーでは画素を高密度にできず、小型画面では高精細化が難しいとされている。
同日、会見した山崎社長は「数年後には、スマートフォンでも8Kを実現できるのではないか」と将来を予想した。
(2017/4/6 05:00)