[ 金融・商況 ]
(2017/5/9 05:00)
東京商品取引所は8日、現物を受け渡さないで売買価格の差額を現金決済する石油製品の先物取引を始めた。現物の受け渡しを伴う現在の取引に比べて、足元の需給をより反映した指標価格の発信につなげる。現物の受け渡しをしないため、業界関係者だけでなく一般投資家も取引に参加しやすくする狙いがある。
海上物、陸上物のガソリン、灯油、軽油の計6種類を取引対象とする。
変動する将来の月間平均価格(変動価格)を固定価格に置き換える取引で、現物の受け渡しを伴わないで差額を精算する。
取引では価格報告機関が公表する当月の価格の月間平均値を用いて決済する。ガソリンは東商取の石油現物市場の月間平均価格、軽油と灯油は米情報会社S&Pグローバル・プラッツの公表価格を使用する。
受け渡しを伴う既存の石油先物市場は当月に翌月以降の先物を売買するため、先行指標として利用されているが、現物取引の指標として十分に機能していない側面があった。
現金決済先物市場は当月中に決済期限を迎える当月物のため、足元の需給を反映できるようになる。東商取は、現金決済先物の上場で資源エネルギー庁が求めている公正、透明な石油流通市場の形成にむけて指標性の高い価格の提供につなげる。
(2017/5/9 05:00)