[ 機械 ]
(2017/5/10 05:00)
ツガミは2020年をめどに、国内の工作機械の機械加工と組み立てをすべて協力会社に委託する。自社の国内生産部門は出荷検査や管理に集中する。IoT(モノのインターネット)関連の機器加工向けで日本製の高精度機市場の成長を見込むが、慢性的な人手不足の中で生産能力の確保が課題だ。協業によって供給体制を整えつつ、関連人材の再配置で開発を強化する。
工作機械業界は自社工場で蓄積した加工・組み立て技術が競争力の源泉となっている。これらを資本の枠を超えて共有する生産体制は異例だ。
完全委託は利益を押し下げる要因になる。ただ、予想される高精度機の需要増に対応するには、国内で協業と開発の強化が必要だと判断した。一連の施策で経営資源を開発や販売などに集め、IoTに関連したロボットや機器類向けに、日本製の加工機の販売を伸ばす。
競合を含め、まずは主力工場のある新潟県長岡市の中堅・中小企業を中心に約20社と連携を深める。各社にそれぞれの得意分野を生かせる工程を割り振り、ツガミを中心とした地域一帯の生産体制を整備する。
国内にいる約600人の従業員数は維持する意向だ。管理を含め国内生産に携わる約300人のうち、計30―40人を中国やインドの工場に指導役などとして一時的に派遣する。
ツガミは国内での生産改革を進めている。17年には、新潟県や長野県に点在していた計4工場の主力工場への集約を完了する。併せて製品構成も見直しており、主力の自動旋盤に加え、自動車関連が多いタレット旋盤を強化している。
今後は旋盤とマシニングセンター(MC)の機能を併せ持った複合加工機に注力し、連結売上高500億―600億円を安定的に確保する方針だ。
日本工作機械工業会(日工会)の調査では、工作機械の内需は90年の1兆380億円をピークに、15、16年は5000億円台とほぼ半減した。だが、ツガミによると高精度機は需要増の傾向にあり、将来を悲観する雰囲気はなくなりつつある。日本の人口減の中、工作機械業界はこれまでにない改革が問われそうだ。
(2017/5/10 05:00)