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[ 中小・ベンチャー ]
(2017/5/18 05:00)
バブル経済以来の高水準にある有効求人倍率が、中小企業の採用活動に影を落としている。日本商工会議所の調査によると、2016年度に新卒・正社員を採用した企業の51・7%が予定した人数を確保できなかった。17年度に新卒採用を計画する企業は55・9%と、16年4月の前回調査時点に比べて6・1ポイント増加しているが、学生に有利な「売り手市場」が続いており、中小企業にとっては厳しい採用環境を強いられることが懸念される。
日商が17年度に採用を行う予定のある企業に、採用人数を尋ねたところ「正社員を増やす」は前回調査とほぼ同水準の50・6%だったのに対し、「非正社員を増やす」は同3・9ポイント増加し58%だった。新卒・正社員を中長期的な視点で育成したいとのニーズがありながらも、現場の負担感が増す実情を前に、非正社員の採用で人材不足を乗り切ろうとする動きが強まっているとも推察される。
静岡県の飲料卸売業社は「応募がほとんどなく採用できない。計画を変更して省力化投資で人材不足を補うことを検討する」と話している。
一方、リクルートワークス研究所によると、18年3月卒業予定の大卒求人倍率は、17年3月卒より0・04ポイント上昇し、1・78倍。求人倍率の改善は6年連続で、近年では08年、09年3月卒の2・14倍に次ぐ高水準だ。
ただ、従業員300人未満の中小企業への就職希望者は前年から33%減の6万6000人にとどまる一方、求人数は同3・9%増の42万5600人に上った。「従業員規模や業種間の倍率差が拡大している」(同研究所)と分析している。
中小企業の間では賃上げによって人材確保を目指す動きもみられるが、目下の人手不足と空前の売り手市場は、もはや企業の自助努力だけで解決できる域を超えている。政府や自治体はさらなる支援策を検討する必要がある。
(2017/5/18 05:00)
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