[ オピニオン ]

社説/経団連70周年−モノづくり産業の復権を期待する

(2017/5/31 05:00)

経団連が今後も日本の産業界のリーダーであり続けるためにも、モノづくり産業の復権を期待する。

経団連は31日、定時総会とともに、前身である旧経団連の設立から70周年の記念パーティーを開く。2002年に旧日経連と統合して現在の経団連が発足してからは15年である。

戦後日本の復興とその後の経済発展は、経団連抜きには実現しなかった。産業界の意見を集約し、政官や労働側との調整を図る機能は今後もずっと必要とされるだろう。

一方、産業の高度化や公的な規制の撤廃の中で、経団連のリーダーシップを重視しない業界や企業が増えてきたことも事実である。歴史的には政治資金規制が強化され、経団連方式の政治献金あっせんを中止して以降、経団連不要論が一般に言われ続けている。

だが経団連の機能をそうして矮小(わいしょう)化するのは正しくない。日本が国内資源や農業生産だけで国民を養えない以上、今後も企業活動で利益を上げ続けなければ繁栄は享受できない。産業界の使命は、旧経団連が発足した終戦直後と基本的に同じだ。

そして産業界を引っ張るのが製造業であることも、一貫している。確かに国内総生産や雇用人員に占める製造業の比率は低下した。製造拠点の海外移転が進み、加工貿易立国という国のあり方も変わりつつある。サービス業などの第3次産業が、いまの日本経済の主流である。

しかし海外で収益を上げ、国富を増やすには製造業が最も重要だ。日本経済の「失われた20年」の中で、いくつもの製造業の業界が国際競争力の低下に苦しんできた。新たな第4次産業革命によって、研究開発から生産・物流まで、モノづくりの優位を取り戻さなければならない。より多くの実力ある製造業が経団連に加わり、産業界をもり立てていくことが望ましい。

きょうの定時総会で、榊原定征会長(東レ相談役最高顧問)は任期の最終年度に入る。間もなく始まる次期会長選びも、そうしたモノづくり産業の復権を意識してもらいたい。

(2017/5/31 05:00)

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