[ オピニオン ]
(2017/6/16 05:00)
地方銀行が苦境に立たされている。今こそ地域に根付いた強みを発揮し、地方創生をけん引してほしい。
金融庁によると、地方銀行の2017年3月期の実質業務純益は前期比2割減った。日銀が導入したマイナス金利により、預金と貸出金の利ざやが縮小し、地銀は収益悪化に見舞われた。
銀行同士の貸し出し競争は激しさを増し、消耗戦の様相を呈している。人口減少が著しい地方の銀行が、人口の多い都市圏に出店するケースも散見され、生き残りに必死だ。
国内景気が拡大期に入り、地方にも回復の兆しが見えてきたとの見方もある。だが、高齢化や人口減少といった社会の構造的変化の中では、地銀の経営環境が急に改善に向かうことは考えにくい。
こうした中、4月に新潟県の第四銀行と北越銀行が経営統合に向けて基本合意した。今年に入り、三重県で三重銀行と第三銀行が、関西で近畿大阪銀行、関西アーバン銀行、みなと銀行が統合を発表し、地銀再編が加速している。合併や統合が地銀の生き残りにかけた重要な方策となっている。
一方で日銀がまとめた「金融システムリポート」では、国内金融機関の労働生産性は欧米に比べて低いと指摘している。地銀に限った傾向ではないが、生き残りのため労働生産性を改善するという視点も必要になるだろう。その際、手続き書類のペーパーレス化などデジタル技術を取り入れていくことも有効な方策となろう。
合併・統合や労働生産性よりも重要な方策は、地域に根ざした地銀ならではの強みを発揮することだ。長年築いてきた地場企業との関係、地域産業に精通したノウハウやネットワークは地銀の財産である。この財産を生かし、地場企業のニーズを的確に把握して関係を再構築する地道な取り組みが求められているのではないだろうか。
顧客企業の活性化は自らの収益改善につながり、ひいては地方創生にも結びつく。今こそ地銀の真価を発揮すべきだ。
(2017/6/16 05:00)
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